今回は、エドルカラーの特徴やサロン活用法をご紹介します!
エドルカラーの基本情報

エドルカラーはタカラベルモントのブランドLebeL(ルベル)から登場した高発色・高浸透のヘアカラー剤です。
最大の特徴は日本人特有の髪の赤み成分(フェオメラニン)を強力に漂白するシナジーオイル処方にあります。
従来のカラー剤が色素の力で赤みを隠していたのに対し、エドルカラーは髪内部の赤みそのものを分解することで透明感を引き出します。
染料は酸化染料で、カラー施術中に発色・定着します。
エドルは染料の浸透力が高く、髪の内部構造(CMC)の深部であるβ層まで染料を運ぶため高い染毛力を実現しています。
さらに「ブーストオイル」と呼ばれる成分がβ層とδ層の境界に整列し、染料の定着領域を補強するとともに髪に油分を補給します。
これにより色持ちの向上とツヤ感アップを両立しています。
もう一つのメリットは低ダメージ処方です。
赤みを効率良く除去できるため強いアルカリ剤を必要とせず、従来より低いpHで髪を染めることができます。
その結果、カラー後にアルカリ残留が少なく、髪への負担を軽減します。
さらにエドルカラーにはplex(プレックス)成分も配合されており、毛髪内部の結合を強化してダメージを抑えているという声もあります。
- 透明感抜群:赤みを除去することで濁りのないクリアな発色。
- 高い色持ち:髪深部まで染料が浸透し定着しやすいため、褪色しにくい。
- ダメージ軽減:低アルカリ・低pH、プレックス配合で施術後の質感が良い。
- 艶感アップ:オイル成分で髪表面が整い、染め上がりにツヤが出る。
エドルカラーのカラーバリエーション
エドルカラーのカラーバリエーションは非常に豊富で、全77色(2024年4月時点)にも及びます。
寒色系(アッシュ・グレージュ等)から暖色系(ピンク・オレンジ等)まで幅広くラインナップされており、「遊ぶ、彩る、透き通る」というコンセプト通り透明感あるトレンドカラーを自在に表現できます。
カラーチャートと仕上がりの傾向

エドルカラーの色見本を明度別に見ると、その透明感と発色の良さが際立ちます。
以下にブリーチの有無による仕上がりの違いをまとめました。
カラー例 | ブリーチなし(地毛〜暗めベース) | ブリーチあり(明るめベース) |
---|---|---|
グレージュ | 赤みを抑えて柔らかな透け感のあるダークグレージュに。 地毛でもくすみ感が出せる。 | シルキーでエアリーな淡いグレージュに。 圧倒的な透明感で外国人風の仕上がり。 |
アッシュ | 黒髪でも重さを感じさせず、洗練されたクールな印象に。 暗髪ロングでも柔らかさが出る。 | 赤みが残りやすい髪質でもしっかり赤みを漂白し、クリアなアッシュに発色。 |
ピンク | ブラウン味を帯びたピンクでツヤと透け感を両立。 光に当たると淡く透ける可愛いピンクブラウン。 | ビビッドすぎず上品な発色。 ブリーチ毛に乗せると鮮やかで色モチも良好。 |
バイオレット | 深みのあるシックな印象。 ほぼ黒に近い色味なので職場や校則が厳しい方にも◎。 | 透明感がさらに増し、より鮮やかなラベンダー系に。 淡い光沢が出て高貴な雰囲気。 |
オレンジ | 地毛レベルでもしっかり発色し、おしゃれ上級者なオレンジブラウンに。 | ブリーチ後でも派手すぎず、テラコッタ寄りの柔らかいオレンジに。 |
ブラウン | 従来のブラウンよりも透明感がありミルキーな仕上がり。 垢抜けたラテカラーになる。 | ふんわり柔らかな今っぽブラウンに。 軽さと抜け感が加わり上品に仕上がる。 |
このように、エドルカラーはブリーチなしでも赤みを抑えてくすみ系カラーを表現でき、ブリーチありではより一層透明感の高い発色が可能です。
カラーチャート上でもベージュ、グレージュ、アッシュ、ピンクといった人気色の仕上がりが明度によって変化する様子が確認できます。
特にエドルのマット(緑系)やブルー系のカラーは赤みの強い日本人の髪を綺麗に補正し、希望の色味に近づけてくれます。
例えば、暗めの髪に「マット×アッシュ」を使えばブラウンに頼らない透明感のあるオリーブグレージュに仕上がり、明るい髪に「ベージュ×クリア」を使えばミルキーなホワイトベージュが作れます。
エドルの色見本帳には明度5〜14レベルまで幅広いトーンが揃っており、濃いビビッドカラーから淡いペールカラーまで自由に組み合わせ可能です。
白髪染めとしての活用

エドルカラーはファッションカラーとして開発されていますが、白髪染め(グレイカラー)への応用も可能です。
実はエドルシリーズには白髪対応ラインの「エドルクオン (edol Qon)」が存在し、ファーストグレイ世代(白髪がちらほら出始めた世代)に透明感のある白髪染めを提供できます。
エドルクオンの特徴
エドルクオンの特徴は、通常のエドルと同様に赤みを飛ばす処方を持ちながら、染まりにくい白髪にも色素をしっかり浸透させる点です。
シナジーオイル処方に加えてシナジープレックスオイル処方が採用されており、フェオメラニンを強力に分解しつつ、新開発の「シンクロオイル」が白髪やエイジング毛の芯まで染料を届けます。
さらに全色にプレックス成分(酒石酸)が配合され、白髪染めによるダメージを抑えハリコシを与える工夫もされています。
エドルクオンの概要

エドルクオンは2021年に発売され、全41色(ベース21色、シェード20色)のラインナップがあります。
従来の白髪染めでは難しかった明るいトーンの白髪染めが可能になっており、「黒髪も白髪もクリアに染める」オトナ透明感カラーを実現します。
実際にエドルクオンを使えば、7レベル以上の明るい髪でも白髪が目立ちにくく染まるため、白髪は気になるけど暗く染めたくない方に好評です。
使用テクニックと他カラー剤との比較

白髪の量が多い場合やしっかりカバーしたい場合には工夫が必要です。
高明度のファッションカラー処方ゆえ、白髪100%を隠す力は若干弱く感じるケースもあります。
そのため、白髪が多い根元にはブラウン系の薬剤をミックスし(例:7トーン以下のブラウンを20〜30%加える等)、毛先はエドルクオン単品で染める、といったテクニックでカバー力と透明感を両立させることが推奨されています。
従来人気のイルミナカラーも白髪染めへの応用例がありますが、イルミナはどちらかというと低ダメージ・高輝度が売りであり、白髪カバー力では専用白髪染めに及びません。
その点、エドルクオンは白髪染め×透明感に特化した処方で、市場のニーズに応えています。
「ファッションカラーでは白髪が染まりにくい」という常識に挑戦したカラー剤と言えるでしょう。
まとめると、サロンワークにおいて白髪が気になるお客様にもエドルカラーのメリットを提供するには、エドルクオンの活用がおすすめです。
白髪をしっかりぼかしつつ透明感のある色味(例えばグレージュやアッシュブラウン)を提案でき、白髪染め特有の重たさを感じさせない仕上がりになります。
「白髪染めだけどおしゃれなカラーを楽しみたい」というニーズに応えられるのは大きな強みです。
ブリーチなしでの発色
エドルカラーの大きな魅力のひとつが、ブリーチなしでも高発色・高透明感を実現できる点です。
日本人の黒髪は赤みが強く残るため、従来はブリーチしないと難しかったアッシュ系・グレージュ系カラーも、エドルなら地毛レベルでチャレンジできます。
例えば、自然な黒髪〜暗髪をエドルカラーで染めた場合の発色例として:
- ダークグレージュ: ブリーチなしの髪でもエドルのグレージュなら柔らかいくすみ感が出ます。
赤みが抑えられるので、地毛由来のオレンジブラウンっぽさが消え、透明感のあるグレー寄りのベージュになります。 - ソフトアッシュ: 黒髪にエドルアッシュを乗せると、ほんのりと明度は上がりつつ深みのあるスモーキーアッシュに。
重たさが軽減され、光に透けたときにグレー味を感じる色になります。 - ピンクブラウン: ブリーチなしでもピンク系の発色が綺麗です。
エドルピンクはブラウン味を帯びて発色するため、派手すぎず上品なローズブラウンになりツヤも出ます。
このように、エドルは高明度の寒色・暖色を駆使して赤みを打ち消すことで、ノンブリーチでも理想のカラーに近づけます。
特にレベル13のアッシュやマットなど明るい寒色系カラー剤を使用し、必要に応じてアクセントカラーのブルーやバイオレットを少量加えるテクニックが有効です。
実際のレシピ例は後述しますが、例えば「13レベルのマット:アッシュを1:1、ブルー10%添加、6%OX(過酸化水素)で2倍希釈」のような配合でブリーチ無しの髪をミルクティー系に染めることができます。
もちろん、ブリーチなしでは元の髪の明るさ以上にトーンアップすることはできません。
黒髪を一度で明るいベージュブロンドにするのは難しいですが、エドルの強みは「不要な赤みを消すことで本来の明度を最大限に引き出す」点にあります。
その結果、ブリーチしていなくても髪の毛一本一本に光が透け込むような透明感が生まれ、柔らかな色味が表現できます。
グレージュやオリーブ系、ラベンダー系など“ほんのり色づくニュアンスカラー”を地毛で楽しみたいお客様には、エドルカラーは最適な選択肢と言えるでしょう。
加えて、ブリーチなし施術ではダメージがほぼゼロで済むため、髪質改善やケア重視の観点からも喜ばれます。
エドルカラーならカラーと同時に髪のツヤ感も向上するため、「染めたのに髪が綺麗になった」と実感されるケースも多いです。
人気カラーのレシピ
ここでは、エドルカラーを使った人気のカラー配合レシピをいくつかご紹介します。
実践的な調合比率とポイントを押さえておくことで、仕上がりイメージに近づけやすくなります。
- グレージュ: 透明感抜群の定番カラー。
例:9-Gr(グレージュ): 11-A(アッシュ): 9-Pe(パール): 9-Be(ベージュ) = 3 : 1 : 20% : 10% (OX 2%)。
ベースにグレージュを多めに、少量のアッシュで赤みをさらに消し、パールとベージュで柔らかさをプラス。
低めの過酸化でトナー的に発色させると、淡い煙がかったグレージュに。 - ピンク: 甘すぎない大人ピンク。
例:アクセントピンク(濃縮ピンク): 13-Pk(ピンク): 9-A(アッシュ) = 4 : 1 : 20% (OX 4.5%)。
高彩度のピンクに明るいピンクを混ぜ、さらにアッシュを少量加えることで黄みを抑制。
中程度の明るさの酸化剤で染めると、ブリーチ無しでもしっかり発色するローズピンクブラウンに仕上がります。 - アッシュ: 赤みゼロのクールアッシュ。
例:13-A(アッシュ): 13-Mt(マット) = 1 : 1 + Blue 10% (OX 6%×2)。
最高明度のアッシュとマットを等量にし、ブルーを少量足すことでオレンジ味をキャンセル。
高めの酸化剤で明度も引き上げつつ色味を入れれば、ブリーチ無しでも軽やかなスモーキーアッシュが実現。 - ミルクティーベージュ: 柔らかなミルキー感が魅力。
例:9-Be(ベージュ): 9-WA(ホワイトアッシュ): 9-Pe(パール) = 4 : 1 : 1 (OX 3%)。
ブリーチで明るくした土台に低アルカリでトナーすると◎。
ベージュ主体に少量のホワイト系とパール系を混ぜることで、黄ばみを抑えつつほんのりラベンダーがかったまろやかなベージュになります。 - ホワイトアッシュ: ほぼ白に近いシルバーアッシュ。
例:11-Be(ベージュ): 11-V(バイオレット): 11-Pe(パール) = 1 : 1 : 1 + 11-Mt(ミルク)10% (OX 6%)。
高明度のベージュをベースに、補色であるバイオレットやパール(薄紫系)を同量ずつ混ぜ、必要に応じてクリアやミルクホワイトを加えて彩度を調整。
ブリーチで18レベル程度まで明るくした髪に20vol程度で発色させれば、透けるようなホワイトシルバーカラーが完成。 - シルバー: 深みのある銀髪カラー。
例:9-Mt(マット) : 9-Gr(グレー) = 1 : 1 (OX 4%)。
2回ブリーチで明度15以上まで上げた髪に低めの酸化剤でじっくり発色させます。
マット(緑)とグレーを同量使うことで赤み・黄みを打ち消し、くすみすぎない上品なシルバーグレーになります。
必要に応じてブルーやパープルを数%足すとさらにクリアな発色に。
※上記レシピは一例です。
髪質や下地の明るさによって配合は調整してください。
特にホワイトアッシュやシルバー系はベースの脱色具合に左右されますので、目的の色に応じてクリア剤で薄めたり、紫や青の分量を増減させると良いでしょう。
エドルカラーはクリア剤(無色の希釈剤)も用意されているため、これを混ぜれば色味を薄めてパステル調にしたり、明度をさらに上げることも可能です。
逆に色味を濃くしたい場合はシェードカラー(高濃度の色素)の比率を増やすことで対応できます。
配合の自由度が高いのもエドルの魅力です。
エドルカラーシャンプーの使い方
エドルカラーの色持ちをより長く楽しむには、ホームケアも重要です。
特にカラーシャンプーの活用は効果的で、エドルからも専用のカラーシャンプーが発売されています。
エドルカラーシャンプーは全3色展開(150mL)で、パープルシルキー(紫)、ポップピンク(桃)、シアーシルバー(銀)のラインナップです。
それぞれ以下のような効果があります。
- パープルシルキー:紫シャンプー
ブリーチ後の黄ばみを抑え、ホワイト系やアッシュ系カラーの色落ちを綺麗に保ちます。
特にハイトーンのベージュ・ミルクティー系やホワイトアッシュを維持するのに最適です。 - ポップピンク:ピンクシャンプー
ピンク系・レッド系カラーの褪色防止に使います。
カラー後にこれを使うと、抜けていく過程でオレンジっぽくならずローズピンクのニュアンスを補充できます。 - シアーシルバー:シルバーシャンプー
青紫系の色素が配合されており、アッシュ・グレー系カラーの黄味や赤味を抑制。
シルバーやブルージュなどクールトーンの褪色をゆるやかにします。
使い方は通常のシャンプーとほぼ同じですが、効果を高めるポイントがあります。
髪を濡らしてから適量を手に取り、泡立てながら髪全体になじませます。
このとき2〜3分程度放置すると色素が髪表面に定着しやすくなります。
その後しっかり洗い流しましょう。
毎日使用すると色素が濃く入りすぎる場合もあるため、週に2〜3回程度、通常のシャンプーと交互に使うのがおすすめです。
ユーザーの口コミ
ユーザーからの口コミでは、「泡立ちが良くスッキリ洗えるのに色もしっかり入る」「カラー後の手触りが良い」など高評価です。
特にホワイトブリーチ毛にシルバーシャンプーを使うと、黄ばまずにクリアな状態が維持できると好評です。
また、エドルカラーシャンプーには保湿・補修成分も含まれているため、カラー直後のデリケートな髪をやさしく洗い上げられます。
カラーケア用のトリートメント「エドル ラスター」とは

シルバーシャンプー以外にも、エドルシリーズにはカラーケア用のトリートメント「エドル ラスター」も存在します。
こちらはシャンプー前のプレケア用ジェルトリートメントで、水や洗浄成分から髪色を守り色持ちを向上させる新発想のアイテムです。
シャンプー前に塗布して数分置いてから洗髪することで、染めたての色ツヤを長持ちさせる効果があります。
総じて、エドルカラーの色合いを長く楽しむには、専用のカラーシャンプーやトリートメントでアフターケアをすることが重要です。
特に寒色系カラーは褪色すると黄みが出やすいですが、紫シャンプーやシルバーシャンプーで定期的に補色することで美しい状態をキープできます。
他のカラー剤との違い
エドルカラーと、近年人気のイルミナカラー・アディクシーカラー・クオルシアカラーを比較すると、それぞれ特徴が異なります。
カラー剤 | 主な特徴 | 得意な色味 | ダメージケア |
---|---|---|---|
エドルカラー (ルベル) | 髪の赤味メラニンを強力に漂白し透明感を出す。 深部まで染料を浸透させ高発色・高持続。 | 寒色・暖色ともにラインナップ豊富。 アッシュ、グレージュ、ピンク、オレンジ等幅広く対応。 | 低アルカリ処方でダメージ軽減。 プレックス成分配合で艶と手触り◎。 |
イルミナカラー (ウエラ) | 独自のマイクロライトテクノロジーで金属イオンによるダメージを抑制。 カラー後の髪の質感が良い。 | 柔らかな発色と上品なツヤ。 ヌーディーなベージュやラベンダーアッシュ等、透明感カラー全般に定評。 | キューティクルダメージを最小限に抑える技術でダメージレス。 繰り返し染めても艶やかさを保持。 |
アディクシーカラー (ミルボン) | 高彩度の青・紫系色素を配合し、髪の赤味・黄味を強力に打ち消す設計。 | アッシュ、グレー、ブルー、パープルなど寒色系カラーが得意。 外国人風のくすみカラーに高評価。 | 従来比で染料濃度が高く色持ちも良いが、その分多少のアルカリ強度はある。 ケアブリーチとの併用でダメージ対策。 |
クオルシアカラー (フィヨーレ) | 植物エキス&PPT配合で低刺激。 濃厚な色味から淡い色まで調整自在で高発色。 | ブリーチなしの暗髪でもしっかり発色し透明感が出せる。 ビビッドなピンク・ブルーからペールトーンまで幅広い。 | 髪・地肌への負担を抑える処方。 染料の粒子が細かく浸透しやすいため発色良でも比較的ダメージ少なめ。 |
上記のように、エドルは「赤み除去による高い透明感」と「浸透力による高発色」が武器です。
他ブランドもそれぞれ優れた点がありますが、エドルは寒色・暖色どちらにも強く、なおかつ低ダメージで染められる点でバランスが良いと言えます。
エドルカラーのデメリットと注意点

メリットの多いエドルカラーですが、いくつか注意すべき点やデメリットも存在します。
- 染まりにくい髪質への対応: 非常に太く硬い髪、低密度の白髪、あるいは逆にガラス化したダメージ毛など、色素が入りづらい髪質では発色が弱く感じる場合があります。
エドルカラー自体の浸透力は高いものの、必要に応じて前処理剤でキューティクルを柔軟にしたり、放置時間を長めに取るなどの工夫をしましょう。
また白髪が多い場合は前述のようにブラウン系をミックスしてカバー力を補うこともポイントです。 - 想定より暗く仕上がる可能性: エドルは染料が濃く発色も良いため、レベル設定を間違えると思ったより暗く沈むことがあります。
特に地毛レベルで5トーン以下の色(濃厚アッシュやディープグレー等)を入れると光加減によって黒っぽく見えることもあります。
カウンセリング時に「仕上がりは自然光で見ると◯◯くらいの明るさになります」と説明し、必要に応じてクリア剤で薄めるなど調整しましょう。 - 色落ちの早いケース: 基本的にエドルカラーは色持ちが良いですが、髪の状態によっては早めに退色することもあります。
例えばブリーチを何度も重ねた非常にダメージの大きい髪だと、キューティクルが開きっぱなしで染料が定着しづらく、せっかく入れた色素が流出しやすいです。
またセルフカラーや他社カラーでシリコン皮膜が厚く残った髪も、染料が弾かれてしまう場合があります。
そのようなケースでは前処理でクレンジングやプレックスケアを行い、染料の入りを良くする対策が必要です。 - ムラ染まりへの注意: エドルは発色が良いため、塗布ムラが出ると仕上がりに差が出やすいです。
特に根元付近と毛先で明るさが違う場合、同じ薬剤をベタ塗りすると発色の差が顕著になることがあります。
対策としては、根元と毛先で薬剤を塗り分ける(リタッチ部分は低明度、既染部は高明度など)、もしくは放置時間を変えるなどして、均一な色になるよう調整しましょう。 - コスト面: サロンによってはエドルカラー施術は通常のカラー料金に+αの設定をしている場合があります。
高性能ゆえにカラー剤自体の価格が若干高めであること、また別途プレックス剤などを併用することも多いためです。
お客様に提案する際は、その価値(ダメージ軽減や仕上がりの質感向上)をしっかり伝えて納得いただくことが大切です。
上記を踏まえれば、エドルカラーの弱点も十分カバーできます。
特に色落ちに関しては「想定より早く抜けてしまった」という声が出ないよう、アフターケアの重要性を伝えることが重要です。
また一度の施術で理想の色に届かない場合も、何度か繰り返し染めることで色素が蓄積し定着しやすくなる傾向があります。
「初回はベース作り」という意識で施術にあたると、お客様とのイメージ共有もしやすくなるでしょう。
サロンワークでの活用法

エドルカラーをサロンで扱う際の施術の流れと、カウンセリング時の提案ポイントについて解説します。
施術の流れ
- カウンセリング: お客様の髪の状態や希望カラーを丁寧にヒアリングします。
エドルカラーの色見本を見せながら、「赤みを抑えて透明感を出せるカラーです」「ブリーチなしでもここまで出来ます」とメリットを伝え、仕上がりイメージをすり合わせます。
またダメージの不安などがあれば、低ダメージであることやケア成分配合であることを説明しましょう。 - プレシャンプー・前処理: 必要に応じてプレシャンプーでスタイリング剤や皮脂を落とします。
ブリーチ履歴のある髪にはエドルBLクレンジングシャンプーなどバッファー機能のあるシャンプーでpH調整し、発色ムラを防ぎます。
またCMC補給系の前処理剤やプレックス剤を塗布し、カラー剤が均一に浸透する土台を作ります。 - 調合: 希望色に合わせてエドルカラーをミキシングします。
基本はメーカーのカラーチャートやガイドに従いますが、独自レシピを作る場合は上述のようにベースカラーとシェードカラーを組み合わせます。
例えば透明感を重視するならブラウンは使わず無彩色系のみで配合する、柔らかさが欲しいならパールやピンクを数%混ぜる等、狙いに応じて調合します。
クリアで薄めればパステルカラー、逆に単品使いなら深みのある色に。 - 塗布: 根元・中間・毛先の状態に応じて塗布順序と薬剤を調整します。
エドルは発色が早い傾向があるので、通常のファッションカラーと同様に根元は後塗り(白髪染めの場合は同時塗布も可)。
刷毛塗布でもコームスルーでも構いませんが、塗りムラが出ないよう均一に施薬します。
必要に応じてラップをして保温します。 - 放置・チェック: 室温で15〜30分放置します。
明度を上げたい場合は長めに、色味重視の場合は発色具合を見ながら20分前後で流すなど調整します。
途中で毛先の発色をチェックし、狙いより濃ければ早めに流し、薄ければもう少し置くといった柔軟な対応をします。 - 乳化・すすぎ: 放置後、ぬるま湯で軽く乳化(地肌や髪に残ったカラー剤を馴染ませる)し、その後しっかりすすぎます。
シャンプーは低刺激性のものかカラー専用シャンプーを使用し、優しく洗います。
エドルの残留アルカリは少ないとはいえ、ここでしっかり洗い流すことで色持ちと手触りが向上します。 - 後処理・スタイリング: 希望に応じてエドル ラスター トリートメントなどで後処理を行います。
毛髪内部にカチオン成分を入れ込んでカラーの定着を高め、キューティクルを引き締めてツヤを出します。
ドライ後は必要に応じてアイロンやコテでスタイリングし、最後に仕上がりをお客様と確認します。
提案・アドバイスのポイント

- エドルカラーのメリット強調: 「赤みを消して透き通る発色」「ツヤツヤな仕上がり」「ダメージが少ないので手触りが良い」等、他にはない長所をわかりやすく伝えましょう。
実際の施術例の写真があれば見せると説得力アップです。 - 仕上がりイメージの共有: カラーチャートやスナップフォトを使い、「このくらいの明るさ」「このようなくすみ感」など具体的に示します。
エドルは繰り返し染めるとより発色が安定するため、「今回でベースを作って、次回さらに理想に近づけましょう」と中長期的なプランを提案しても良いでしょう。 - 白髪への対応: お客様に白髪が混在する場合、「エドルクオン」を使えば白髪も浮かずになじませられることを説明します。
特に「白髪染めで暗くしたくない」という方には明るいグレイカラーが可能な点をアピールしましょう。 - アフターケアの説明: 色持ちを良くするために、自宅でのカラーシャンプー使用や避けてほしいこと(当日シャンプーしない、熱いお湯で洗わない等)を伝えます。
「色落ちも綺麗なので長く楽しめますが、◯◯シャンプーを使うとさらに◎」といった具体的なアドバイスが喜ばれます。 - 次回来店の目安: エドルカラーの持ちは1ヶ月〜1.5ヶ月程度なので、根元の伸び具合も踏まえて「約◯ヶ月後にメンテナンスしましょう」と案内します。
特にハイトーンカラーの場合は退色も早いので、早めの周期を提案します。
色落ちの傾向と対策
エドルカラーの色落ちについても把握しておきましょう。
一般に、エドルで染めた髪は比較的色持ちが良いと言われています。
髪の芯までしっかり染料が浸透していることと、赤みを飛ばしているおかげで、たとえ色落ちしてきても赤茶けずに綺麗に抜けていくのが特徴です。
色持ちの期間は髪質やホームケアによって差がありますが、およそ2週間〜1ヶ月半程度が目安です。
ブリーチの有無やシャンプー頻度、スタイリング時の熱などによっても退色スピードは変わります。
そこで、色落ちを最小限に抑えるための対策を以下にまとめます。
- 48時間はシャンプーしない: 染めた当日と翌日はできるだけ髪を洗わないようにします。
カラーの染料が髪内部に定着するまでに時間がかかるためです。
どうしても気になる場合はお湯で軽く流す程度に留め、シャンプーは2日後からにしましょう。 - 濡れたまま放置しない: お風呂上がりはすぐにドライヤーで髪を乾かします。
濡れた状態が長いとキューティクルが開いたままで色素が抜けやすく、また髪自体のダメージも進みます。
しっかり根元から乾かす習慣を付けましょう。 - 保湿ケアをする: ヘアオイルやミルクで日常的に髪を保湿しましょう。
乾燥してダメージを受けた髪は色落ちが早くなるため、洗い流さないトリートメント等でキューティクルをコートし、色素の流出を防ぎます。 - カラーシャンプーを使う: 前述のカラーシャンプーを活用します。
特にアッシュ系や寒色系は紫・シルバーシャンプー、ピンク系はピンクシャンプーを使うことで色落ち期間が大きく変わります。
色味に合ったシャンプーを美容師から提案してもらい、定期的に使用すると良いでしょう。 - 濃いめに色を入れてもらう: カラー施術時に、少し深め・濃いめに色を入れておく方法です。
特にハイトーンカラーの場合、最初は狙いより暗めでも1〜2週間でちょうど良い明るさに抜けてくることがあります。
美容師と相談し、次回から「色持ち重視で少し濃いめに」などオーダーするのも一つの手です。
その他にも、紫外線による色抜けを防ぐため外出時はUVカットスプレーを使う、海やプールのあとはすぐ洗う(塩素や塩分は退色を促します)、高温のヘアアイロンの多用を避ける等も有効です。
エドルカラーは「色落ちすらも楽しめる」と言われるほど褪色過程も美しいですが、適切なケアでお気に入りの色味を長持ちさせましょう。
まとめ

エドルカラーは繰り返し染めることで髪に色素が蓄積し、より発色が安定してくる傾向があります。
そのため、「色持ちがもっと良くなるように次回もエドルで染めましょう」といった提案も有効です。
お客様と二人三脚で理想の髪色を育てていくイメージで、エドルカラーの魅力を存分に活用してください。