エヌドットカラーのカラーチャート解説と他ブランド比較

エヌドットカラー(通称N.カラー)は、ナプラ社が展開するプロ向けヘアカラー剤ブランドです。
その中でも「ルフレカラー」と呼ばれるファッションカラーラインは、高彩度・高発色が特徴で、全71色もの豊富な色展開(15色相+6種のコントロールカラー)を揃えています​。

特にグレージュやシルバー系など“グレー系”の表現力に優れ、カラーチャート上でも複数の無彩色カラー(Fog、Metal等)がラインナップされています。
さらに、ブリーチ毛はもちろんブリーチなしの髪でも透け感のある高彩度カラーが楽しめる処方となっており、中明度の地毛でもしっかり発色するようアルカリバランスと染料濃度が工夫されています​。

そのため、従来は難しかった暗髪での透明感カラー(いわゆる“地毛で外国人風”)も、適度なリフトアップ効果と高い染着力によって単色で実現可能です。

ルフレカラー以外のエヌドットカラー

出典:ナプラ公式サイト

エヌドットカラーにはファッション向けのルフレカラー以外に、酸性ヘアマニキュアの「N.アシッドカラー」ラインも存在します。
N.アシッドカラーはダメージを抑えながら艶やかな色味を与える酸性カラーで、髪表面をコーティングすることで白髪にも染着しやすいのが特徴です​。

オイルイン処方の新クリームにより浸透・密着性が向上し、塗布時は伸びが良いのに根元でピタッと止まる絶妙な硬さで操作性に優れています。
また、従来のマニキュア特有の刺激臭を抑え、フリージアや洋ナシの香りを採用するなど使用感も快適に工夫されています。

ラインナップはブラック(黒染め用)やプラチナ(シルバー)、ブルーやレッドなど原色系~クリア剤まで揃い、ブリーチした髪に原色を重ねてビビッドな色味を入れたり、白髪部分にクリアな色味をのせておしゃれ染め感覚で楽しむこともできます。

以上がN.カラーの概要ですが、プロのカラー剤選定においては他メーカー品との比較も重要です。
以下ではエドル(ルベル)、ビューティーン(ホーユー)、キャラデコ(中野製薬)、フィヨーレ(フィヨーレ)といった主要カラー剤ブランドと、N.カラーを各項目で比較して解説します。

カラー剤ブランド別の比較ポイント

エドル(LebeL)

出典:ルベル公式サイト
  • 色味のバリエーション:ルベルのエドルカラーは、「遊ぶ、彩る、透き通る」をコンセプトにした高透明感カラーで、2024年時点で全77色もの色展開があります​。
    赤みを抑えたアッシュ・グレージュ系のラインナップが充実しており、日本人特有の赤味メラニンを漂白する独自技術でクリアな発色を可能にしています。
  • ブリーチなしでの発色力:エドル最大の特徴はブリーチなしでも透明感のあるカラーが楽しめる点です。
    シナジーオイル処方によって薬剤の浸透力を高め、髪内部の赤味を効率よく分解することで、従来は2回染めが必要だったような透け感カラーを単染で実現します。
    特に暗髪からでもくすみのないアッシュ系に仕上げたい場合、エドルは高い効果を発揮します。
  • 白髪対応力:エドルは基本的にファッションカラー志向ですが、近年では黒髪と白髪を同時に透明感ある色味で染めるグレイライン(edol yoyoi等)も展開されています​。
    とはいえ主力はおしゃれ染め向けで、白髪をしっかりカバーするというよりは白髪交じりの髪にも赤みを抑えた柔らかな色味を乗せる、といった使われ方が中心です。
  • カラー施術の時間:標準的な放置時間はエドルも20〜30分程度で、特別クイック施術向けというわけではありません。
    アルカリレベルはやや高めですが、低pH処方の実現でダメージを抑えているため​、放置時間を長めにとってもしみづらく色持ちも良い傾向があります。
  • 使用感:刺激臭が少なくツヤが出やすい処方で、施術中・後の手触りも良好と評判です​。
    シナジーオイルの効果で染料の定着が良く、染め上がりの質感も滑らかです​。
    ヘアケア成分も配合されているため、カラー後の髪のコンディション維持にも配慮されています。
  • 対象顧客層:赤味を消した透明感カラーを求める若年層~ミセス層まで幅広く提案可能ですが、特にブリーチなしで外国人風カラーにしたい20〜30代のお客様に人気が高いです。
    ダメージレス志向のサロンや、イルミナカラー・アディクシーなど透明感系カラーを好む層に対してエドルカラーは有力な選択肢となります。

ビューティーン(ホーユー)

出典:Beauteen公式サイト
  • 色味のバリエーション:ビューティーンはホーユー社のセルフカラー向けブランドで、10代~若者向けの鮮やかなカラーが揃っています。
    中でも「メイクアップカラー」シリーズは全13色展開で、グレーアッシュ、メタリックアッシュ、アイスシルバーといったトレンドの灰色系から、ブルーブラックやネイビーブルー、マゼンタピンクなど個性的な色までラインナップされています​。
  • ブリーチなしでの発色力:基本的にビューティーンの鮮烈カラーはブリーチや予め明るくした髪に使用することを想定しています。
    暗い地毛にそのまま使っても発色は限定的で、パッケージ通りの色味を楽しむには事前のブリーチが必要です。
    例えば「ブルーブラック」のように黒髪になじむ濃い色であればブリーチなしでも多少の色味は感じられますが、透明感のあるシルバー系や高彩度の原色系は明るいベースがあって初めて映えるカラー剤です。
  • 白髪対応力:若年層向けのおしゃれ染めであり、白髪染め用途には適していません。
    白髪に着色はできますが、一時的に淡く染まる程度でカバー力は低く、またマニキュア的な染まり方のためすぐ落ちてしまいます。
    白髪用の商品はラインナップに含まれていないので、白髪世代は別シリーズ(例えば同社のグレイチェンジカラー等)を選ぶ必要があります。
  • カラー施術の時間:自宅で手軽に染められる設計で、放置時間は20分前後と案内されています。
    泡タイプの乳液カラーで髪全体にムラなく行き渡り、比較的短時間で染められるのが利点です​。
    美容室で使うケースはほぼありませんが、セルフカラーとしては塗布のしやすさとスピーディな染まりで評価されています。
  • 使用感:乳液が泡立つ独自処方で、コームなしでも手で揉み込むだけで塗り広げられる手軽さが特徴です。
    また、髪を傷みにくくするトリートメント成分や、カラー後のアフターケア用シャンプー・美容液が付属するなど、ホームカラーでもできるだけ髪と地肌への負担を抑える工夫がされています。
    香りもツンとしたニオイを抑えたマイルドな香調になっており、不快感は少ないでしょう。
  • 対象顧客層:ビューティーンはその名の通りティーン世代~20代前半のユーザーをメインターゲットにしています。
    派手なカラーで個性を表現したい学生や若者が学校休みの期間だけ染める、といった用途にもマッチするよう、色持ちが約1~2週間程度で徐々に薄れていく設計になっています​。
    サロンでブリーチするほど本格的ではなくても安価にイメチェンを楽しみたい層に支持されるカラー剤です。

キャラデコ(中野製薬)

出典:ナカノ公式サイト
  • 色味のバリエーション:キャラデコは「伝えたい色をまっすぐ伝える」がコンセプトのサロンカラーで、低アルカリの自然色ゾーンから高彩度のビビッドゾーン、さらに酸性カラーのアシッドゾーンまで3つのラインで構成されています​。
    この3ラインを組み合わせることで無限の色表現が可能であり、ファッションカラーから白髪染めまでオールマイティに対応できる点が最大の特徴です​。
    特にアッシュ系やマット系のくすみカラーにも定評があり、近年はネオンのような高発色カラー「アクリルカラー」の新色追加などトレンド対応も積極的です。
  • ブリーチなしでの発色力:高彩度のビビッドゾーンにはブリーチオンカラー向けの原色系も含まれますが、基本的には単品でも十分発色するよう調整されています。
    中彩度ライン(モデレートカラー)は低アルカリ処方で髪への負担を軽減しつつ、黒髪にも落ち着いた発色を与える設計です。
    ブリーチせず透明感を出したい場合は、例えばアッシュ系であれば補色のブルーやグリーンを混ぜて赤味を抑えるなど、複数ラインのミックスで柔軟に対応できます。
  • 白髪対応力:キャラデコはファーストグレイ(白髪が生え始めた世代)から高齢者の白髪染めまで提案できる汎用性が売りです。
    自然色ゾーンには白髪の隠蔽力が高いナチュラルブラウン系やグレイカラー専用色も含まれており、必要に応じてビビッドな色味を補助的に配合しおしゃれ感を演出できます。
    白髪染め特化ではありませんが、明るめの白髪染め(いわゆるおしゃれ白髪染め)ニーズにも応えられる柔軟性があります。
  • カラー施術の時間:標準的な放置時間は20〜30分ですが、キャラデコには放置時間を短縮できる明記の「クイックカラー」は用意されていません。
    ただし発色が早い染料を採用しているため、髪質や色によっては20分以内でも十分染まるケースもあります。
    低アルカリのモデレートラインは地肌への刺激が少なく長時間置いてもしみづらいので、放置時間を調整しやすい利点があります。
  • 使用感:生薬由来成分が配合されており低刺激で臭いもマイルドな処方です​。
    テクスチャーはクリーミーで塗布しやすく、色彩理論に基づいた調色ガイドも提供されているため、カラー初心者の美容師でも扱いやすいとの声があります。
    酸性ライン(アシッドゾーン)はマニキュアタイプでツヤ出しや色補正に使え、こちらもイヤな匂いを抑えた仕様になっています。
  • 対象顧客層:「キャラデコ」は文字通りキャラクターをデコレーションするように、世代を問わずあらゆるお客様一人ひとりの“なりたい姿”を表現できるカラーです​。
    若年層にはビビッドなデザインカラーを、30〜40代には透明感と上品さを両立したシアーなカラーを、白髪世代には優しく艶やかに染めるナチュラルカラーを、とオールマイティに提案できるため、幅広い客層を抱えるサロンで重宝するブランドと言えます。

フィヨーレ(FIOLE)

出典:フィヨーレ公式サイト
  • 色味のバリエーション:フィヨーレの「BLカラー」シリーズは、自然色ゾーン・ビビッドゾーン・アシッドゾーンの3ラインを自在にミックスできる設計で、サロンカラーの可能性を広げる豊富な色味を揃えています。
    特にブルーやグリーン系の発色が綺麗と評判で、アッシュやマット系で思い通りの発色が得られやすいです。
    同シリーズ内で白髪染めライン「ラディーチェ」や高明度ライン「クオルシア」など細分化されたカテゴリも存在し、目的に応じた色選びが可能です。
  • ブリーチなしでの発色力:BLカラーのビビッドゾーン自体は高発色ですが、製品全体としてはローアルカリ処方(低アルカリ)を採用しており、必要以上に明るくしすぎず髪への負担を抑えるバランスになっています​。
    そのため、ブリーチなしの地毛をトーンアップして色味を入れる力はマイルドですが、代わりに染料の濃さでカバーし、暗めの髪でも青み・緑みをしっかり発色させて赤みを消すことができます​。
    例えば黒髪をやや明るくしつつアッシュブラウンに染めたい場合などに、必要十分な発色とダメージ軽減を両立できるでしょう。
  • 白髪対応力:「誰一人取り残さないカラー」を掲げるフィヨーレだけあり、グレイヘアでも黒髪でも美しくツヤやかに染め上げることが可能です​。
    自然色ゾーンには白髪染め向けのラインが用意されており、低アルカリ・低刺激で頭皮に優しく染められます。白髪染め特有の沈んだ発色になりにくく、明るめの色でもムラなく染まる点でサロンワークに適しています。
    実際、BLカラーは「白髪でも黒髪でも美しく染められる」とメーカー公式でも謳われており​、白髪比率の高いお客様にも対応しやすいカラー剤と言えます。
  • カラー施術の時間:通常の1剤・2剤混合のアルカリカラーで、基本の放置時間は20〜30分です。
    特別なクイック処方ではありませんが、頭皮への刺激が少ないため状況に応じて5〜10分延長してもしみづらく、お客様の髪質に合わせて柔軟に調整できます。
    低アルカリゆえに反応が穏やかで、加温により発色をコントロールするなど職人芸的な運用も可能です。
  • 使用感:生薬エキスやPPT(加水分解ケラチン)などの毛髪保護成分を配合し、施術中の刺激臭や頭皮のヒリつきを大幅に軽減しています。
    実際の使用レビューでも「頭皮にしみにくく快適にカラーできる」と評価されており​、サロン施術中のストレスが少ないカラー剤です。
    テクスチャはやや軟らかめのクリームで塗布しやすく、単品でも発色しますが多彩な色味を混ぜてパーソナルカラーを調合できる楽しさも備えています。
  • 対象顧客層:色彩理論に基づいた提案をしたいカラー重視サロンや、他店との差別化を図りたい美容師にマッチします​。
    お客様側では、ナチュラル志向で頭皮や髪への負担を気にする大人世代から、ブリーチ毛のハイトーンを活かして個性的なカラーを求める若者まで幅広く対応可能です。
    特に「アッシュやマット系でいつも赤みが残る」とお悩みの方には、フィヨーレのブルー・グリーン系カラーによる解決策を提案できるでしょう。

まとめ:N.カラーと各ブランドの使い分け

以上の比較を踏まえると、美容師がカラー剤を選定する際にはN.カラーならではの高発色グレー系やブリーチレスでの透明感表現を武器にしつつ、他ブランドの強みも活かした使い分けが可能です。
例えば、N.カラー(ルフレ)はブリーチなしでの高彩度発色やトレンド感ある色味が魅力なので、地毛の明るさを活かして外国人風カラーにしたいお客様に最適でしょう。

一方でエドルはさらに赤み除去力に長けるため、よりクリアなアッシュや淡色パステルを狙う際に有効です​。
白髪混じりの場合はフィヨーレキャラデコの低刺激処方で安心感を与えつつ、おしゃれな色味を出す、といった組み合わせも考えられます。

ホームカラーで派手にした髪のメンテナンスにはビューティーンの色落ち具合も踏まえてサロンカラーを提案するなど、各ブランドの特徴を理解して提案の幅を広げることが大切です。
顧客の求める仕上がりや髪質・ダメージレベルに応じて、これらカラー剤ブランドを使い分けることで、サロンワークにおけるカラー施術の満足度向上に繋がるでしょう。

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