今回はスロウカラーの基本情報から、サロンワークでの活用方法をご紹介します!
スロウカラーの基本情報

「スロウカラー(THROW)」は、美容メーカービューティーエクスペリエンス社が開発したプロ向けヘアカラー剤です。
日本人特有の髪の赤みを徹底的に排除したベースカラー設計が特徴で、アッシュやマット系などの寒色をクリアに発色させることができます。
髪の内部から透明感のある発色を促す“WATER RICH CREAM処方”や、シルク由来成分でツヤとしなやかさを与える“DUAL SILK COMPLEX”が採用されており、地毛のようなシアーなツヤ感と鮮やかな発色を両立できるカラー剤です。
さらに5種類のオーガニックオイルと8種類のボタニカルエッセンスなどのヘアケア成分が配合されており、施術中のダメージ軽減にも配慮されています。
一般的なカラー剤によく含まれるパラフェニレンジアミン(PPD)不使用でアレルギーリスクを低減している点も特徴です。
他のカラー剤との違い

スロウカラーは近年人気のイルミナカラーやアディクシーカラーと並び称される高彩度ヘアカラー剤です。
イルミナカラー(Wella社)は紫味寄りのブルーベース処方で、ツヤ・ダメージレス効果が高く、柔らかな透明感と手触りの良さが特徴です。
一方、アディクシーカラー(ミルボン社 オルディーブ アディクシー)は全色に高彩度の青を仕込んだ処方で赤味・ブラウン味を強力にかき消し、特にサファイヤなどの寒色で絶大な透明感を発揮します。
スロウカラーも赤味を抑えた青ベース系のカラー設計で透明感を追求しており、クリアな発色という点では両者に引けを取りません。
特にスロウは日本人の髪の悩みである赤茶っぽさを一切感じさせない“究極のアッシュ”をコンセプトとしており、イルミナほどの強い輝きよりもニュアンス重視の自然な質感に仕上がるといわれます。
また処方面では髪質改善効果を意識した成分配合や心地よい香りなど、サロン施術時の快適さにも工夫が凝らされています。
総じてスロウカラーは、赤みのないクリアな色味と髪へのやさしさを両立した、高彩度カラー剤の代表格と言えるでしょう。
人気のカラーレシピと活用方法
スロウカラーを使った人気のカラーデザインは豊富に存在します。
最近のトレンドではピンク系やベージュ系、アッシュ系が人気で、それぞれスロウならではのレシピと仕上がりがあります。
ピンクカラーレシピ
ピンクカラーの例では、スロウのP-6とP-8(6トーンと8トーンのピンク)を1:1で配合し、6%オキシで調合するレシピが挙げられます。
ピンク系は発色が淡く色抜けしやすい傾向があるため、あえて低めのトーン(6レベル)の染料を混ぜてしっかり色素を入れるのがポイントです。
こうすることで明るさを保ちつつ鮮やかなピンクベージュに仕上がり、薄づきでも上品な発色が得られます。
アッシュ系カラーレシピ
アッシュ系カラーの定番レシピとしては、アッシュ12トーンにモノトーン10トーン、バイオレット10トーンを10:1:1の比率で混ぜ、3%オキシで短時間(約8分)発色させるシルバーアッシュ調合があります。
高彩度のアッシュに少量のモノトーンとバイオレットを加えることで、くすみすぎずクリアなシルバー感を表現するテクニックです。
このようにスロウカラーは単色でも美しいですが、複数の色味をミックスして絶妙なニュアンスカラーを作り出せるのも魅力です。
ベージュ系カラーレシピ
ベージュ系であればアッシュやマットを少量混ぜて赤味を消し、「グレージュ」や「オリーブベージュ」といった柔らかなトーンを作ることができます。
透明感を優先したいときはモノトーンやスモークを加えてブラウン味を抑え、逆に温かみを少し出したいときはベージュやナチュラルを補うことで調整が可能です。
ブリーチの有無による仕上がりの違い
ブリーチの有無による仕上がりの違いにも注目しましょう。
スロウカラーはブリーチなしの地毛レベルでも赤みを抑えて発色してくれますが、やはり暗め・深めのトーンで落ち着いた仕上がりになります。
一度のカラーで透明感のある外国人風カラーを実現するには、地毛が明るめであるかライトナーでトーンアップしておくとより効果的です。
ブリーチなしでもスロウのアッシュ系+高明度カラーで柔らかなアッシュブラウン程度にはなりますが、ブリーチありの場合はさらにクリアで高発色な仕上がりになります。
例えばワンブリーチ後にスロウカラーをオンすると、ワンプロセスでは難しい透け感ブルージュや淡いペールピンクなども再現可能です。
明るめカラーを狙う場合はブリーチありのダブルカラーで鮮やかさを出し、逆に暗めカラーでも透明感を維持したい場合はスロウのスモークやモノトーンを駆使して赤みを抑えると良いでしょう。
コントロールカラーの使用

スロウには彩度や明度を調整する専用の「ホワイト」や「スモーク」といったコントロールカラーも存在します。
ホワイトは既存色に混ぜてコントラストを下げる新発想のカラー剤で、彩度や明度ではなく全体のトーンバランスを柔らかく調整するのに使います。
例えば明るいアッシュにホワイトを加えると、まるでヴェールをかけたような淡いトーンになり、より繊細でやわらかな発色に仕上がります。
一方スモークは絶妙なくすみ感をプラスできるグレイッシュな補助色で、単色ではなく他の色味に混ぜて使うことで深みと透明感を両立させます。
ピンクにスモークを足して少しくすませればトレンドのくすみピンク(ダスティーピンク)のような雰囲気を出せますし、アッシュ系に足せばより青味を強調しつつ柔らかな質感を与えることができます。
このようにレシピの幅が広いのもスロウカラーの魅力であり、狙った色に合わせて自由自在に調合をカスタマイズできるため、サロンワークでも重宝されています。
色落ちと色持ちの実態

カラー施術後の色落ちは、どのカラー剤でも気になるポイントですが、スロウカラーの場合は透明感重視の処方ゆえにやや退色スピードが早い傾向にあります。
メーカー公式が「色持ちが良い」と謳っているわけではなく、「究極のアッシュ」を優先して開発された背景があるためです。
ただしこれはスロウに限らず、透明感カラー全般に言えることです。
色を濃く長持ちさせたい場合は初めからやや暗め・濃いめに染めるなどの調整が必要でしょう。
一方でスロウカラーは従来のカラー剤に比べて髪への定着力が高い染料を採用し、ポリマー処理による色抜け防止も施されているため、適切に染めれば比較的ムラなく褪色していきます。
褪色後に日本人特有の赤味がぶり返しにくいのも強みで、色落ち後も嫌なオレンジ味や赤味の少ない髪色が残ります。
何度かスロウカラーで染めていくうちにベースが整い、よりクリアなアッシュ系が定着しやすくなるという意見も多いです。
色落ち後の髪色変化
色落ち後の髪色変化としては、アッシュ系なら徐々にグレイッシュなベージュ~薄いブラウンに移行し、赤茶というより黄味寄りのやわらかな色味になります。
ピンク系であれば鮮やかなピンクがコーラルピンク~ベージュに変化し、金髪寄りの明るさが徐々に現れてくるでしょう。
いずれにしても極端に濁ったりくすんだりしにくいので、比較的ナチュラルに退色していきます。
色持ちを良くする方法

色持ちを良くする方法としては、まずカラー専用のホームケア製品の使用が挙げられます。
スロウカラーと同ブランドのシャンプーやトリートメントを使えば、余計な染料流出を抑えつつ発色を持続させることができます。
特にアッシュ系には紫シャンプーやアッシュシャンプー、ピンク系にはピンクシャンプーなどを併用するのがおすすめです。
また日常的に熱すぎるお湯やアイロンを避ける、洗髪後はすぐに乾かすなどの基本的なダメージ対策も色持ちに大きく影響します。
サロンワークでの導入と施術テクニック

スロウカラーをサロンに導入する際は、施術プロセスやテクニックについてもしっかり把握しておきましょう。
基本的には他のアルカリカラー剤と大きな差はありませんが、スロウの特徴である「透明感」を最大限活かすには下地作りや配合が重要です。
前述の通り赤味の残りやすい既染部にはブリーチやライトナーでベースを整えると、より理想的な発色に近づきます。
カウンセリングでは赤みを消したい要望を持つ方や、透明感あるカラーを希望する方にスロウカラーをおすすめすると良いでしょう。
ただし褪色の速さや色持ちに関しては正直に伝え、濃いめ・暗めに染める方法など対策も一緒に提案すると安心感に繋がります。
施術テクニック

施術工程では薬剤選定と塗布順がポイントです。
一般的な1剤:2剤=1:1または1:1.5を目安に配合し、地毛リフトなら6%オキシ、トーンダウンなら3%オキシと、目的に合わせて使い分けます。
放置時間の目安は20分前後ですが、寒色系の場合はしっかり30分置いたほうが発色が安定しやすいです。
アディクシーほど速効性はなく、イルミナほどゆっくりでもないため、髪質や狙いの明度によって微調整してください。
ダブルカラー施術では、ブリーチに少量のバイオレット系やスモークを混ぜて黄ばみを予防するテクニックも有効です。
これによりブリーチ後のベースが透明感高く整い、オンカラーの発色が一段と綺麗になります。
スロウカラーのコントロールカラーを上手く使いこなし、根元~毛先で塗り分けを行うことでムラなく、狙い通りの色味に仕上げられます。
他カラー剤との併用
他のカラー剤との併用も検討してみましょう。
例えばスロウのコンフォートラインとファッションカラーを組み合わせれば、白髪のカバーをしつつ中間~毛先で柔らかな透明感カラーを作ることが可能です。
一部だけビビッドな原色を入れたい場合はマニキュア系カラー剤と併用するのもアリです。
ただしブラウン味の強い染料を混ぜすぎるとスロウ特有の透明感が損なわれる恐れがあるため、注意が必要です。
まとめ

総合的に見るとスロウカラーは赤みの少ないクリアな発色と、柔らかな質感が最大の魅力です。
適切なカウンセリングと下地作り、そしてレシピや放置時間の調整を行うことで、トレンドを牽引する上質なヘアカラーを提供できます。
ぜひサロンワークの幅を広げるために、スロウカラーを活用してみてください。