ヘアマニキュア並みの高彩度発色で人気の新ブランド「ティントバー (tintbar)」は、15色のアクセントカラーラインナップを揃えたアルカリカラー剤です。
従来のカラー剤では難しかったビビッドな色味を、ブリーチなしの髪でも濁りなく表現できる点が特徴。
本記事ではティントバーについて、美容師目線で他サイト以上に深掘り解説します。
ティントバーのカラーバリエーション一覧(全15色)

- ウルトラマリン (Ultramarine) – 夜の海のようなディープブルー。
- パーフェクトシアン (Perfect Cyan) – 透明感あふれるピュアなシアンブルー。
- ジェイドグリーン (Jade Green) – 濃厚で深みのある翡翠のようなグリーン。
- サワーグリーン (Sour Green) – 澄んだ鮮やかライムグリーン。
- ラジアントイエロー (Radiant Yellow) – 鮮烈なビビッドイエロー。
- タイガーリリー (Tiger Lily) – ハッと目を引くビビッドオレンジ。
- ローズヒップ (Rosehip) – 濃厚で深みのあるローズレッド。
- ベリーベリーピンク (Very Very Pink) – 高彩度でどの明度でもしっかりピンク。
- ロイヤルパープル (Royal Purple) – 気品あるブルーベースのパープル。
- インディゴブルー (Indigo Blue) – 深い藍色のインディゴブルー。
- リッチブラック (Rich Black) – 濃密なニュアンスブラック。
- メルティブラウン (Melty Brown) – とろけるような深みのチョコレートブラウン。
- ヒロインベージュ (Heroine Beige) – 柔らかく透明感のあるベージュ。
- ノーブルグレー (Noble Gray) – 上品でクールなスモーキーグレー。
- クリア (Clear) – 無色のクリア剤。単独使用で14Lv相当まで明るくするライトナー。
以上のように、個性的な色名が揃うティントバーは全てファッションカラー扱いの1剤で、通常のアルカリカラーと同様に2剤(オキシ)と混合して使用します。
パッケージやネーミングもSNS映えを意識したデザインで、お客様との会話にも花が咲くラインナップです。
各カラーの発色傾向(ブリーチ有無・ベースの影響)

ティントバー各色の仕上がりは、髪の明るさ(レベル)や下地の色によって大きく変化します。
基本的に高明度のベースほどカラーチャート通りの鮮やかな発色が得られますが、低明度の地毛でも色味自体はしっかり感じられるのが特徴です。
- ブリーチなしの暗髪: 濃厚で深みのある発色に。
例えばベリーベリーピンクは未ブリーチ毛でも濁らず鮮やかなピンクが発現しました。
一方、インディゴブルーやパープル系は暗髪ではほぼ黒に近く、光に透けるとわずかに色味を感じる程度になります。 - ワンブリーチ程度の髪: レベル10~13前後のベースでは各色とも比較的鮮やかに発色します。
とはいえ残留メラニンの影響はあり、下地の黄味が残るとシアン系はややグリーン寄りに発色する傾向があります。
実際、14Lv程度の黄ばみがある毛束ではパーフェクトシアンが緑がかった色合いに見えました。 - ハイトーンブリーチ毛: レベル14以上の超高明度毛(ほぼ白金)ではカラーチャート通りの純色が再現できます。
例としてインディゴブルーは14Lv以上でようやく“見るからにインディゴ”な深い青みがしっかり出現します。
ロイヤルパープルも高明度ほど輝くような紫が表現可能です。
なお、ベースの残留色素による色ブレには注意が必要です。
白っぽい髪ではジェイドグリーンが青寄りに発色する現象も確認されています(おそらく髪の黄味が無い分、配合された青系染料が強く出たため)。
また、ラジアントイエローは白金毛束上では鮮やかな黄色ですが、少しオレンジ味が残る髪では黄橙色にシフトします。
一方でピンク系やオレンジ系は多少ベースが暗くても色味自体は大きくブレず、明度によって濃淡が変わる程度です。
このように発色傾向を踏まえ、事前に必要であればベースのトーン調整やプレカラー(下染め)を行うと理想の色に近づけやすくなります。
使用シーンやおすすめの組み合わせ

ティントバーは原色に近いビビッドカラー中心のため、デザインカラーの幅が広がります。
インナーカラーやハイライトでポイント使いして鮮やかな差し色を加えたり、全体をブリーチして思い切り原色系カラーを発色させたりと、トレンドの韓国風カラーや個性派カラーにも最適です。
実際、韓国モデルのカン・テリさんが纏ったオレンジ髪(タイガーリリー)は若い世代を中心に大きな話題となりました。
2020年にはリッチブラックやブラウン系の新色も加わり、ビビッド系×ナチュラル系のミックス提案も可能になりました。
例えば全体はヒロインベージュで柔らかく染めつつ、ポイントでベリーピンクを入れて遊びを加えるなど、組み合わせ次第で幅広いカラーデザインが実現できます。
- ニュアンスブラック: リッチブラックを他の色に20%ほどミックスすると落ち着いた深みがプラスされ、暗髪志向のお客様向けに最適。
- 高明度パステル: クリアを最大50%混ぜて色味を薄めれば、夏場に人気の淡いパステルカラーも表現可能。
- トレンドのグレージュ: ノーブルグレーとヒロインベージュをミックスすることで、柔らかさとくすみ感をあわせ持つグレージュ系カラーが作れます。
- ビビッドカスタム: ビビッド同士も混色OK。例えばロイヤルパープル+ベリーピンクで鮮やかなマゼンタ系に、パーフェクトシアン+ジェイドグリーンで青緑系ターコイズに、といった創作も自由自在です(※混色比率による仕上がりの変化に注意)。
このように提案の幅が広いティントバーは、サロンワークでも重宝します。
ビビッドカラー初心者のお客様にはインナーやポイントで少量を入れてみて、気に入ったら範囲を広げるといった段階的な提案もしやすいでしょう。
逆に全頭カラーで攻めたい場合も、従来より発色が良い分ブリーチ回数を抑えられるケースもあり、ダメージ軽減に繋がります。
色持ち・退色過程とケアのコツ

高発色のカラーは退色の速さが心配になりますが、ティントバーの色持ちは一般的なアルカリカラーと同程度で、カラーチェンジのしやすさも両立しています。
従来のマニキュア系のように極端に早く色抜けしたり、次のカラーの邪魔をする残留が強く残ったりしにくい点は大きなメリットです。
実際に検証では、同系統のマニキュア染料と比べてシャンプー時の泡立ちに色が出にくい(ティントバーのオレンジ泡は白っぽく、マニキュアは泡がしっかりオレンジに染まった)ことが確認されました。白いタオルへの色移りも、マニキュアははっきり色移りしたのに対しティントバー(タイガーリリー)はわずかに付く程度で済んでいます。
退色は徐々に薄まっていく過程も比較的きれいで、原色系でも最後はパステル調の淡い色味が残るようにフェードアウトしていきます。
特にピンク~パープル系やブルー系は、マニキュアほど極端な残り方(緑や薄泥色に抜ける等)をせずソフトな色残りになる傾向です。
もっとも、直接染料が含まれるグリーン系やイエロー系はごく僅かに染料残留が起こる可能性もあります。
次に反対色系カラーへチェンジする際は、場合によっては軽いブリーチやカラーチェンジャーでリセットすると安心です。
色持ちを良くするためのケアも重要です。
基本的には他のファッションカラーと同様、週1回程度のカラートリートメントで色味を補充するのがおすすめです。
ビューティーエクスペリエンスからはティントバー専用のカラーケアトリートメント(全3色)も発売されており、自宅で手軽に色チャージが可能です。
さらに日常では以下のポイントに気を付けると退色を緩やかにできます。
退色を穏やかにするポイント
- 低刺激のカラーシャンプー・トリートメントを使い、洗髪頻度も必要以上に増やさない(色落ち防止)。
- お湯の温度はぬるめに設定し、洗髪後はすぐ乾かして濡れたまま放置しない。
- コテやアイロンの高熱を頻繁に当てない。特にグリーン系は熱で色抜けしやすいため要注意(スタイリング前に熱保護剤を使用)。
- 直射日光による色飛びを防ぐため、UVカット効果のあるヘアスプレーやオイルを活用する。
施術時の注意点・処方のポイント

ティントバーはアルカリタイプの1剤カラーなので、通常のヘアカラーと同様の感覚で扱えます。
基本レシピは1剤:2剤を1:1、6% (20vol)オキシで20分放置です。
ブリーチ毛など高明度の髪に対しては、発色重視で3%(10vol)の低いオキシを使うのも一手です(実際、ベリーピンクを3%で単品塗布し綺麗に染まった例があります)。
逆にトーンアップ目的で地毛を明るくしたい場合は、クリア単品を6~12%オキシで使用しベーストーンを上げてから色を重ねる方法も有効でしょう。
塗布に関しては、クリーム状のテクスチャで非常に塗りやすく、塗布テクニックは従来のカラー剤と同じです。
高彩度ゆえに肌や爪への着色が心配になりますが、ティントバーは地肌に色が残りにくく安心して全頭塗布できます(とはいえ耳周りや生え際は保護オイルを塗るなど基本的な配慮は推奨)。
耳や首筋についた場合もすぐ拭えばシミになりにくいです。
調合のポイント
調合のポイントとして、混色する際は各色の染料濃度が高いため少量の配合でも色味が大きく変化します。
特にリッチブラックやインディゴなど濃い色は、1割加えただけでも他色を一気にダークダウンさせる力があります。
狙い通りの色になるか不安な場合は毛束テストで発色を確認しながら微調整すると確実です。
また、直接染料を含む色(サワーグリーンやラジアントイエロー等)を配合するときは、他の色味に影響されやすいので混ぜすぎに注意します。
例えばグリーン系に僅かでも赤系を混ぜるとブラウン寄りに濁る可能性があるため、補色関係を考慮した配合が必要です。
施術上の注意としては、必ず事前にパッチテストを行うことや、染毛中・後の頭皮の状態チェックなど通常のヘアカラーと同様の安全対策を怠らないでください。
特に高彩度カラーは放置時間が長すぎると必要以上に濃く入りすぎてしまう場合があるため、既定の時間を守り、状態に応じて早めに流す判断もプロとして求められます。
実際のサロン現場での活用例とプロの視点

多くの美容師がティントバーを取り入れ始めていますが、現場の評価も上々です。
例えばあるスタイリストは「ベリーピンクをブリーチ無しのパーマ毛に使ったら、予想以上に深く鮮やかに染まった」とレポートしています。
ダメージがあってブリーチできないお客様にも高彩度カラーを提案できるようになった点は、大きなメリットと言えるでしょう。
また「今まで難しかったオレンジやグリーンの発色が綺麗に出せるようになった」という声もあります。
従来、緑系は熱に弱く色抜けしやすい・オレンジ系はダメージ毛に染まりにくいといった課題がありました。
ティントバーではそうした難色にも対応する処方がなされており、実際に仕上がりのビビッドさから色持ちまでプロの期待を裏切らない結果を出しています。
プロの視点で注目すべきは、その扱いやすさです。
アルカリカラーなので施術工程は普段通りでOKですし、塗布中も薬剤が垂れたり他に付着したりしにくいので扱いやすいです。
さらに地肌に色が付きにくいため新生部からしっかり塗れることで、根元ギリギリから発色させたいデザインでも安心感があります。
カラーチェンジの容易さもサロンワークでは重要で、次回違う色にしたい場合でも比較的スムーズに移行できます。
例えばマニキュアで一度緑にした髪をその後ピンクに変えるのは困難ですが、ティントバーならベースに極端な残りが少ないため比較的容易です。
商品コンセプトとしては「アクセントカラー専門ブランド」というユニークさもあり、カラー名やビジュアル戦略がお客様の心を掴む点も見逃せません。
パッケージモデルに韓国人気モデルを起用するなど話題性も高く、SNSで発信する際にもネタになります。
サロンで実際にカラーチャートを見せながら相談すると、お客様も「この色かわいい!」といったリアクションで盛り上がりやすく、提案がスムーズになります。
まとめ

総じてティントバーは、現場の美容師にとって新たな武器と言えるカラー剤です。
高彩度×低ダメージ×扱いやすさを両立し、クリエイティブなカラー提案の幅を大きく広げてくれます。従来のカラー施術の延長で使えるため導入ハードルも低く、今後ますます活用が進むでしょう。
是非サロンワークで積極的に活用し、他にはない個性的なカラーをお客様に提供してみてください。