キャラデコ ミルキー(ミュゼリア)は、中野製薬が展開するプロフェッショナル向けカラー剤シリーズのひとつです。
濁りのない高彩度な発色と、柔らかな質感表現を両立した処方が特徴で、ミルクティーベージュなどトレンド感のあるハイトーンカラーも思い通りに表現できます。
本記事では、染料構成、カラーレシピ、実際のサロンでの応用までを網羅的に解説。
カラー設計の自由度を広げたい美容師の方は、ぜひ参考にしてください。
商品概要と特徴

「キャラデコ ミュゼリア」は中野製薬のプロ向けヘアカラーラインで、ファッションカラーとして美しい発色とミックスのしやすさを両立したカラー剤です。
2016年には質感表現を追求した新色としてミルキー(MLK)とスモーキー(SMK)の系統色が追加発売されました。
従来、美容師は毎年変わる色味トレンドだけでなく「透け感」や「柔らかさ」といったカラーの質感にも注目しており、ミルキー/スモーキーはまさにそのニーズに応えるシリーズです。
カラー剤は1剤80gのクリームタイプ(医薬部外品)で、通常6%の2剤(過酸化水素)と1対1で調合して使用します。
- サークルポジショニング設計:各色の彩度を均一に保ち、単色でも鮮やかでミックスしても濁りにくい色表現を実現。
- 高彩度&ブラウンレス処方:ブラウン系の染料を含まない高彩度ラインのため色味がはっきり出て、クリアな発色と透け感を表現。
- AHPベース配合:アミノ酸を主体とした独自処方(アミノ酸ヘアパックベース)でカラーの基本性能を高め、ノンシリコン・ノンカチオンでも良好な染まりと手触りを実現。
- ジェミニ型アミノ酸誘導体配合:髪内部への通り道を広げ染料やアルカリの浸透性を高めるとともに、ダメージ部分の補修作用を発揮し、発色の向上と毛髪ケアを両立。
染料構成と色の仕組み

キャラデコ ミュゼリアの染料構成の最大の特徴は濁りにくさにあります。
各色相の色味に不要な濁り成分(特にブラウン要素)を極力含まない処方のため、補色同士を混ぜても理想通りの中間色が得られます。
例えば通常のカラー剤では青とオレンジを混ぜるとくすんだ茶色になりがちですが、キャラデコなら双方の彩度が高く設計されているためクリアなニュアンスのまま中和できます。
この均一高彩度設計によりカラー調合の計算がしやすく、思い通りの色を再現しやすいのが利点です。
さらに前述のAHPベースと毛髪補修成分の効果で、染料が毛髪深部まで浸透し発色するため、ブリーチ毛でもしっかり色味を入れつつ手触り良く仕上がります。
ミルキーベージュなど人気色のレシピと使用例
ミルキー系カラーを使うと、近年トレンドの柔らかなベージュ系カラーを表現しやすくなります。
中でも明るいミルクティーベージュは定番人気で、ブリーチベースにミルキーを加えて作るまろやかなベージュです。
例えば、ブリーチで明度18レベルほどまで抜いた髪にMLK/9m(ミルキー9トーン)とピンク系カラーを組み合わせてオンカラーすることで、透明感抜群のミルキーベージュを実現できます。
実際、Nakano公式の投稿でも「MLK/9mはベージュ系の色味を作る際に使いやすく、出したい色に対してMIXすることで『〇〇ベージュ』が簡単に作れます」と紹介されています。
言い換えれば、求める色味にミルキーを少量足すだけで柔らかいベージュトーンにシフトできるということです。
同様に、アッシュ系にミルキーを足したミルキーアッシュや、ピンク系に足したミルキーピンクなども作ることができ、従来のビビッドすぎる発色を抑えて優しいニュアンスに仕上げられます。
例えば赤味の強いオレンジブラウンもミルキーを混ぜればまろやかなコーラルベージュに変換できますし、寒色のアッシュもミルキーで柔らかなグレージュ系に寄せることが可能です。
これらミルキー系カラーはブリーチ毛との相性が特に良く、ハイトーンカラーのレシピ作りにおいて重宝するでしょう。
カラーチャートと仕上がりイメージ

キャラデコ ミュゼリアのカラーチャートはトーン(明度)別×色相別にマトリクス表示されており、自然な黒髪向けのナチュラル(N)やブラウン(B)から、アッシュ(A)・ピンク(P)・バイオレット(V)などの高彩度カラー、そして質感調整用のミルキー(MLK)・スモーキー(SMK)まで多彩なラインナップです。
各系統色は明度レベル3~13まで展開があり、特にミルキーとスモーキーは5・7・9・11・13トーンの5段階が用意されています。
以下にミルキー/スモーキー系統のトーン別ラインナップをまとめます。
トーン | ミルキー (MLK) | スモーキー (SMK) |
---|---|---|
13(超ハイトーン) | MLK-13m | SMK-13m |
11(ハイトーン) | MLK-11m | SMK-11m |
9(ミドルトーン) | MLK-9m | SMK-9m |
7(ロートーン) | MLK-7m | SMK-7m |
5(ダークトーン) | MLK-5m | SMK-5m |
ミルキー系の毛束見本はクリーミーなベージュブラウン寄りの発色で、スモーキー系はややグレーがかったスモーキートーンになっています。
これらの新質感カラーは単色でも使用可能ですが、本来は他の基本色に混ぜてニュアンスを調整する目的のカラー剤です。
そのため、カラーチャート上でも通常の色相の隣に配置され、既存色に混ぜた際の仕上がりイメージが把握しやすくデザインされています。
こちらはミルキーベージュで仕上げたヘアカラーの一例です。
ブリーチベースにミルキー系のベージュをオンすることで、柔らかな透明感とツヤ感のあるベージュカラーに仕上がっています。
ビビッドさを抑えたミルキーな質感が髪全体に行き渡り、優しく上品な印象を与えます。
ブリーチによる黄ばみやムラもミルキーの効果で目立ちにくくなり、均一で滑らかな色合いに調整されています。
実際のサロンワークでの応用例

キャラデコ ミルキーシリーズはサロンワークにおいて幅広い応用が可能です。
一つはハイトーンカラーのトナーとしての活用です。
ブリーチ後の髪にミルキー系カラーを被せると、濁りのない柔らかな色味でトーンダウンでき、いわゆる「ミルクティー系」の淡色も再現しやすくなります。
例えばハイライトを入れた髪のオンカラーにミルキーを混ぜれば、コントラストが強すぎない柔和な仕上がりになり、バレイヤージュやグラデーションのぼかしにも効果的です。
また、カラーデザインの調合が計算通りにしやすい点もサロン現場で大きなメリットです。
カラーシミュレーション通りの発色を得やすいため、新色レシピの開発やお客様への提案がスムーズになります。
色ブレが少ないので、経験の浅いスタイリストでも狙い通りの色を出しやすく、施術時間の短縮や仕上がりクオリティの安定にもつながります。
白髪への対応

ミルキーシリーズはファッションカラーだけでなく、ナチュラル系とのミックス次第で白髪のぼかし(ファーストグレイ対応)にも応用できます。
例えば白髪交じりの髪に対して、ナチュラル系7トーンにミルキー系を加えて染めれば、しっかり染まりつつ硬さのない柔らかな発色で白髪をカバーできます。
既存の白髪染めにファッションカラーのニュアンスをプラスする感覚で、エレガントなグレイヘアデザインを作れる点も魅力です。
施術後の髪はアミノ酸由来成分のおかげで手触り良くまとまり、ツヤも損ないません。
ブリーチを多用するハイトーンカラーでも極力ダメージを抑えられるため、カラー後の髪のコンディションにこだわるサロンには大きな武器となるでしょう。
総じてキャラデコ ミルキーは、プロの現場でトレンドカラーの表現幅を広げ、お客様の要望に合わせた柔らかな質感カラーを実現する心強いツールと言えます。