白髪があってもミルクティーベージュは叶う。
イルミナカラーは、赤みを抑えた透明感ある仕上がりと低ダメージが魅力のファッションカラー剤です。
本記事では、白髪を自然にぼかしながらミルクティーカラーを表現するための配合レシピ・テクニック・カウンセリングのコツまで、美容師向けに徹底解説します。
白髪の割合別アプローチや色持ちの傾向、プレソフニングの有無など、現場で役立つ情報を詰め込んでいます。
お客様の「白髪も染めつつおしゃれにしたい」に応える、プロフェッショナルのためのガイドです。
イルミナカラーの白髪染め適性と特徴

イルミナカラーは元々おしゃれ染め(ファッションカラー)用に開発されたカラー剤であり、通常の白髪染めとは処方が異なります。
独自の「マイクロライトテクノロジー」により施術中のダメージを抑えつつ美しい発色を実現しており、繰り返し染めても手触りが柔らかくツヤのある仕上がりになります。
ブリーチ無しでも髪の赤みを抑えた高い透明感が出せるのが特徴で、白髪混じりの髪でも淡い色味を表現できます。
ただしブラウン(濃色)の配合量が少ない処方のため白髪への染料の絡みは従来より弱く、完全に白髪を隠すというより白髪を活かしてぼかすイメージで捉えると良いでしょう。
適切に配合すれば白髪も染まりますが、白髪専用設計ではない点は踏まえておく必要があります。
白髪にミルクティーカラーを出す配合とテクニック

柔らかなミルクティーカラーを白髪に表現するには、ベージュ系の明るい色味に僅かなくすみを加える調合が鍵です。
例えばイルミナカラー「サファリ」と「オーキッド」を5:1で混ぜると、黄みを抑えたクリーミーなミルクティーベージュを作れます。
白髪の部分は元々明るいベース(無色)なので発色しやすい一方、黒髪部分は事前にレベル10前後までトーンアップしておくと理想的です。
必要に応じてハイライトやソフトブリーチで黒髪を明るくしておき、白髪と黒髪の明度差を無くしてからイルミナカラーでミルクティーに染めると綺麗に統一感が出ます。
白髪が硬く染料が入りにくい場合は、塗布前に6%程度のオキシ(水酸化剤)を白髪部分に塗ってキューティクルを開かせるプレソフニングや、前処理トリートメントで髪のコンディションを整えておくと良いでしょう。
また既染部とのムラを防ぐため、毛先には無色の「イルミナクリスタル」や低アルカリの薬剤を使って調整するテクニックも有効です。
白髪の割合別アプローチ(10%、30%、50%以上)

白髪の割合に応じてアプローチを変えることで、仕上がりのクオリティが向上します。
白髪が約10%以下の初期段階では、イルミナカラー単独でも自然に白髪をぼかすことが可能です。
この程度の白髪量であれば好みの色味で染めつつ、必要に応じてシャドウやアンバーを少量(全体の20%程度)ミックスすれば十分馴染ませることができます。
白髪が30%前後になると、明るめの仕上がりを目指す場合でもシャドウ等の配合比率を上げて色に厚みを持たせることが重要です。
シャドウを20~30%混ぜることで白髪への染着力を高めても、不思議と重たい印象にならず柔らかな質感は維持できます。
必要に応じて細かなハイライトを黒髪部分に追加し、白髪とのコントラストを緩和するとよりナチュラルに仕上がるでしょう。
白髪が50%以上の場合、イルミナカラーだけではカバーしきれないことも多くなります。
シャドウを多めに配合したレシピで明るい白髪染めに挑戦するか、白髪ぼかしのハイライトと組み合わせてデザインで魅せる提案がおすすめです。
白髪がほとんどを占めるようなケースではイルミナカラーでは十分なカバーが難しいため、希望次第では通常の白髪染めとの併用も検討します。
色落ちの傾向と退色後のケア提案

イルミナカラーで白髪を染めた場合、退色の仕方にも独特の傾向があります。
まず退色過程が自然で、白髪染め特有の根元と染めた部分のくっきりとした差が出にくいのが利点です。
染めた直後の色味変化も楽しめ、徐々に明るくなっていく過程でも赤味やオレンジ味の嫌な発色になりにくい特徴があります。
一方で、従来の白髪染めに比べると色持ちはやや短く感じられることがあります。
特に白髪は内部に色素が留まりにくいため、カラーの退色とともに白髪が少しずつ表面に現れてきやすいです。
そのため約1ヶ月に1度のペースでのメンテナンスカラー(根元の染め直しや色味補充)を提案し、常に理想の髪色をキープできるようにします。
退色を遅らせ美しい色味を長持ちさせるホームケアも重要です。
具体的にはカラー専用シャンプー(褪色した色素を補う紫シャンプー等)を使用してもらうことや、ドライヤー前の洗い流さないトリートメントでUV・熱ダメージから髪を守ることを伝えます。
また、お客様には「色落ちしても不自然な発色にならない」というイルミナカラーの特長も説明し、退色過程も含めてカラーを楽しんでもらえるよう提案しましょう。
おすすめのイルミナカラー配合レシピ
白髪をおしゃれに染めるためのイルミナカラー配合レシピをいくつかご紹介します。
ソフトアッシュグレージュ
白髪をほんのりぼかしつつ透明感のあるグレージュに仕上げる配合です。
イルミナカラーヌード8+オーシャン8+シャドウ20%(1:1に対してシャドウを20%足す)+3%オキシを使用したレシピの例では、白髪20%程度を自然にカバーしながら柔らかな寒色系の発色が得られます。
ミルクティーベージュ
白髪の黄ばみを抑えたまろやかなベージュ系です。
サファリ10:オーキッド10=5:1の割合で調合し、3%もしくは6%オキシで染めます。
ブリーチで明るくしたベースにこのレシピをのせると、赤味のない上品なミルクティーカラーが発色します。
白髪が多い場合はシャドウを10~20%加えて染料の厚みを持たせると色持ちが向上します。
ウォームアンバーベージュ
明るさを保ちつつ白髪をしっかりカバーしたい時は、イルミナカラー新色のアンバー6と希望色を1:1で混ぜる方法がおすすめです。
アンバー6レベルの持つ淡いブラウンニュアンスが白髪に深みを与え、通常のファッションカラーでは難しい明るめの白髪染めを実現できます。
仕上がりは重たくなりすぎず、柔らかなベージュ系の色味に白髪が自然と溶け込みます。
お客様へのカウンセリングポイントと注意点

白髪をイルミナカラーで染める際は、施術前のカウンセリングでしっかりすり合わせを行うことが大切です。
まずどの程度白髪を隠したいかをお客様にヒアリングし、ファッションカラー中心の施術になるため白髪を完全には染めきれない可能性があることを事前に説明しましょう。
特に白髪量が多い場合は「多少白髪が透けてもおしゃれに見せる」という新しい視点を提案し、従来の白髪染めとの違いを理解していただくことが重要です。
加えて、イルミナカラーは色持ちや退色の仕方が通常の白髪染めと異なるため、次回のカラー周期やホームケアの重要性についても具体的に案内します。
例えば「色味を保つために1ヶ月ペースでのカラーがおすすめ」「紫外線ケアや専用シャンプーで退色を防げる」等、施術後のケア方法を丁寧に伝えましょう。
一方でイルミナカラーはダメージレスな点もメリットなので、「毎回毛先までカラーを入れても負担が少ないので常に綺麗な色を楽しめます」といったポジティブな情報も共有します。
また、希望の明るさや色味によっては一度で狙い通りに発色しない場合もあるため、必要に応じて段階的に明るくしていくプランやハイライトの活用など代替案も提案できると親切です。
最後に頭皮保護やアレルギー有無の確認など安全面の注意も促し、お客様に安心して施術を受けていただけるよう配慮しましょう。
以上のポイントを押さえたカウンセリングで、お客様の不安を解消しつつ白髪を活かしたおしゃれなヘアカラーを提案してください。
まとめ|白髪でも理想のミルクティーカラーはつくれる
イルミナカラーは白髪をしっかり染め上げるものではありませんが、白髪をぼかしながら透明感のある色味を表現できるという強みがあります。
ミルクティーのような淡い色味を活かすには、ベースの明度コントロール・シャドウの活用・白髪の割合ごとの薬剤設計など、繊細な技術と提案力が求められます。
色持ちや退色後のケア、カウンセリングの段階でのギャップコントロールも忘れてはいけません。
白髪染め=暗いという常識を覆す「魅せる白髪カラー」、ぜひ現場で提案してみてください。