プロ向けヘアカラー剤アジアンカラーフェスは、高明度・強発色のカラーリングを可能にする新世代のカラー剤です。
日本人の髪でも鮮やかな色表現ができると話題で、サロンワークの幅を広げます。
本記事ではカラー設計やチャートの見方から各色のレシピ、泡カラー「ビビッドプラス」まで、競合以上に踏み込んで解説します。
カラーチャートの見方と設計意図

アジアンカラーフェスのカラーチャートは、色相ごとに純度の高いカラーが並ぶ純色設計です。
各色が髪の上で極めて鮮やかに発色するよう彩度高く調整され、不要な混色によるくすみが出にくい構成になっています。
色番号は仕上がりの明るさを示し、LIFT(リフト)シリーズとLOW LIFT(低アルカリ)シリーズに大別。
たとえば「8ピンク」は8レベル相当の明るさで発色するピンク色を意味します。
処方コンセプト染料とアルカリをゲル状の基剤で包み込むゲルネットワーク処方を採用し、髪への塗布ムラを防ぎ均一で美しい発色を実現。
必要以上のリフト力に頼らずに鮮やかな発色を可能にするため、明るく見せる染料を配合しています。これにより地毛の明るさに左右されにくく、安定した色表現が可能です。
1剤は全92色と豊富で、ファッションカラー(アルカリ)と微アルカリカラーに加え、アクセント用のコンセントレート(conc)カラーやライトナー、クリア剤など調整色も揃っています。
組み合わせ次第で暖色・寒色問わず自由な色彩設計ができるのがチャート設計の意図です。
ピンク・レッド・オレンジ・アプリコット各色の発色傾向とレシピ例
アジアンカラーフェスの主要な暖色系カラーであるピンク、レッド、オレンジ、アプリコットは、いずれも純色設計ならではのクリアな発色が特徴です。
それぞれの色味の傾向と、調合レシピ例を紹介します。
オキシ(2剤)との配合比は基本1剤:2剤=1:1が標準ですが、仕上がりや髪質に応じて調整可能です。
ピンク: 高発色で鮮やかなローズ系ピンク。ブリーチ毛ではビビッドなピンクに発色し、暗めの髪でもうっすらと赤みを帯びたピンクブラウン系に発色します。
レシピ例: 明るいピンクにしたい場合は「ピンク8」にOX6%を1:2で混合し、クリアピンクを少量足すと柔らかさが出ます。
暗めに染めるなら「ピンク6:ナチュラル6」を1:1にOX2.8%で配合し、落ち着いたローズ系カラーに調整します。
レッド: 深みのあるクリアな赤。単品でもしっかり発色し、ブラウンみに転ばない純粋なレッドが表現可能です。
レシピ例: 鮮やかな赤味を強調するなら「レッド8」を単品でOX6%(1:1)で使用。
やや柔らかい赤茶にする場合は「レッド8:オレンジ8」を1:1にOX6%で調合し、コーラル寄りのレッドに仕上げます。
オレンジ: ビビッドすぎず自然なオレンジ。
日本人の肌になじみやすい温かみのある発色で、明るめにするとフレッシュなオレンジに、暗めだと銅色に近い色合いになります。
レシピ例: 「オレンジ10」をOX6%で1:2で使うと明るく鮮やかなオレンジに。
既染部のトーンダウンには「オレンジ6:アプリコット6」を1:1にOX2.8%で配合し、ツヤのあるシックなオレンジブラウンに。
アプリコット: 優しい印象のオレンジ寄りのピンクベージュ系カラー。
オレンジより柔らかく、ピンクよりも黄味がある色調で、髪に馴染みやすいペールトーンです。
レシピ例: ブリーチ毛に「アプリコット8」をOX6%で1:1で使えば明るいペールオレンジに発色。
よりピンクみを足したい時は「アプリコット8:ピンク8」を2:1でOX6%にし、ほんのり桜色がかったコーラル系に仕上げます。
ビビッドプラスやクリア系カラーの使い方と表現幅
アジアンカラーフェスには、アルカリ1剤以外にもカラーバリエーションを広げるアイテムがあります。
それが泡タイプの塩基性カラー「ビビッドプラス」と、ペールトーン調整用のクリア系カラーです。
これらを活用することで表現の幅が格段に広がります。
ビビッドプラスの使い方
ビビッドプラスは泡カラーで、過酸化水素を使わない塩基性(直染式)カラーです。
弾力のある泡状なので髪に均一に塗布しやすく、短時間で高彩度・高濃度に発色します。
ブリーチ後の髪にそのまま塗布して鮮やかな原色系カラーを発色させたり、酸化染料では出しにくいビビッドな色味をポイントで入れるのに最適です。
たとえば毛先だけピンクのアクセントを加えたい場合、ブリーチ毛にビビッドプラスのピンクを泡塗布して発色させるといった使い方ができます。酸化カラーと組み合わせてダブルカラーのように使うことで、より鮮やかな色表現が可能です。
クリア系カラーの使い方
クリア系カラーは「クリアピンク」「クリアシルバー(クリアアッシュ)」「クリアベージュ」「クリアアプリコット」など、淡い色味のみを持つ調整カラーです。
それ自体をクリア剤のように使用でき、既存色に混ぜて彩度をコントロールします。
例えば、「ピンク」にクリアピンクを混ぜればよりパステル調のやさしいピンクになり、「アッシュ」にクリアシルバーを混ぜれば透明感のあるスモーキーな発色になります。
基本は1剤(通常色)に対し最大で10倍程度までクリア系カラーを混ぜて使い、必要に応じてOX2.8%で発色させます。
単品で使用するとごく淡い色づきになりますが、約1〜2週間程度で色落ちするため、他の色と併用して使うのがおすすめです。
クリアベージュは既存のビビッドな色に混ぜて柔らかなペールトーンを作れるカラーで、強い色を和らげるのに便利です。
ブリーチあり/なしでの仕上がりの違い

アジアンカラーフェスはリフト力の高いカラーですが、髪をブリーチありの場合とブリーチなしの場合とでは発色の仕上がりに大きな差が出ます。施術前に仕上がりイメージの違いを把握しておくことが大切です。
ブリーチありの場合
事前に十分明るく脱色された髪では、カラーチャート通りの高彩度な発色が得られます。特にピンクやパープルなど淡い色でもそのまま鮮やかに再現でき、クリア系カラーを併用すればペールトーンも思いのままです。
透明感や色の鮮明さが際立ち、例えばクリアシルバー単品でもほんのりと上品なシルバーのニュアンスを表現できます。ビビッドプラスを使用する場合も、ブリーチ毛であれば狙った原色がそのまま発色するため、デザインの幅が無限に広がります。
ブリーチなしの場合
地毛〜既染の明るめブラウン程度の髪にも対応力がありますが、発色はブリーチ毛ほど鮮やかにはなりません。例えば8レベル程度の明るさの髪にピンク系を乗せると、赤みのあるブラウン〜ローズ系の色味に留まります。
ただしアジアンカラーフェスは「明るく見せる色味」を含む処方のおかげで、地毛レベルでも必要以上に濁らず発色します。
オレンジやレッド系は比較的暗髪にも発色しやすく、太陽光下ではほんのりと色味が感じられる仕上がりです。
ブリーチせずにより発色させたい場合は、LIFTタイプを選んで1剤:2剤を1:2でOX6%に薄め、多少でも地毛を明るくしながら色を入れると効果的です。
また、ブリーチせずダブルカラー感を出したい時は、一度アジアンカラーのハイトーン(例えば14オレンジなど)で明るくしてからビビッドプラスを重ねる方法も有効です。
アリミノとの関連性や泡カラーの特徴

アジアンカラーフェスは老舗メーカーアリミノが手掛けるカラー剤シリーズであり、同社の他ラインとの技術的親和性やサポート体制も整っています。
特に注目したいのが、アリミノ独自の泡カラー技術を採用した「ビビッドプラス」の存在です。
アリミノはこれまでも「カラーストーリー」シリーズなど高彩度カラーを展開してきましたが、アジアンカラーフェスはそれらの知見を活かしつつ更に発色の良さを追求しています。
ビビッドプラスはアリミノ史上最高レベルの彩度を実現するため開発されたもので、泡で染める高彩度・高濃度の塩基性リキッドカラーです。
アルカリカラーとの組み合わせも考慮し、アルカリ残留がある髪上でもムラなく染まる処方になっている点が特徴です。
泡カラーのメリット
従来のクリーム状塩基性カラーと比べ、泡状のビビッドプラスは塗布ムラが格段に減ります。
根元から毛先までコームや手で泡を伸ばすだけで均一に行き渡り、染まりにくい部分もムラなく発色します。
また、染料構成をシンプルにすることで混ざったときの濁りが出にくく、クリアなビビッドカラーを表現できます。
実際の仕上がりイメージやおすすめの組み合わせ
最後に、アジアンカラーフェスを使った仕上がりイメージと、カラー同士のおすすめの組み合わせ例を紹介します。
高発色を活かしたデザインカラーから、サロンワークで使いやすい馴染みの良いカラーまで、応用のヒントにしてください。
仕上がりイメージ例
ブリーチオンでピンクを単色染めした場合、写真映えするビビッドピンクに仕上がります(透け感のあるチェリーピンク系カラー)。
一方、地毛レベルの髪にアプリコットを入れれば、室内では落ち着いたほんのりオレンジブラウン、太陽光でふわっとオレンジ味が見えるナチュラルな印象になります。
クリア系カラーを混ぜたペールトーンなら、たとえばクリアベージュ+ピンクの配合で柔らかな桜色ベージュが表現でき、肌なじみが良く上品な仕上がりです。
カラー組み合わせ例
コーラルピンク: 「ピンク:オレンジ」を2:1の割合でミックス。
ピンクの華やかさにオレンジの暖かみが加わり、肌馴染みの良いコーラル系ピンクに。
【※明るめブリーチ毛向け】
ラベンダーパープル: 「ピンク:バイオレット(紫)」を1:1でミックス。
ピンクの明るさを紫が引き締め、甘すぎないラベンダー寄りのパープルカラーに。
クリアシルバーを適量加えるとくすみのない透明感がアップします。【※ブリーチ必須】
アッシュベージュ: 「アプリコット:アッシュ」を1:1でミックス。
柔らかなベージュ系にほんのりとした暖色味が残り、くすみすぎない絶妙なグレージュカラーに。
【※ライトブラウン程度の既染毛でも発色可】
チェリーブラウン: 「ピンク:レッド:ブラウンブースター」を2:1:1でミックス(OX2.8%使用)。
白髪もカバーしつつ、光に当たると赤みピンクが感じられる上品なチェリーブラウンに。【※白髪染め対応レシピ】
上記のように、アジアンカラーフェスは単色使いはもちろん、混色やクリア剤の活用、塩基性カラーとの組み合わせで無限のカラーバリエーションを作れます。
高発色でありながらコントロール性に優れているため、プロの美容師にとって心強いカラー剤と言えるでしょう。
サロンワークでぜひ積極的に活用し、アジアンカラーフェスならではの表現力を存分に生かしてみてください。