イルミナカラーはWella社が開発した美容室向けヘアカラー剤で、髪へのダメージを極力抑えながら美しい発色を実現します。
低ダメージを実現する独自技術により、カラー施術時に生じがちなキューティクルの損傷を軽減し、繰り返し染めても髪の手触りが柔らかく保たれるのが特徴です。
染め上がりのツヤ感が非常に高く、光が当たったときに髪がキラキラと輝くような仕上がりになります。
日本人特有の硬く見えやすい髪も、イルミナカラーなら透明感のある淡い発色に導くことができ、髪を柔らかな質感に見せてくれるのが魅力です。
従来のヘアカラーでは出しづらかった「透き通るようなカラー」を表現できるため、登場以来サロンワークで定番の人気カラー剤となっています。
イルミナカラーのカラーチャートと各色の特徴

イルミナカラーのカラーチャートには、多彩なカラーラインナップが揃っています。
各カラーは名前と明度(レベル)で表記され、例えば同じカラーでもレベル4・6・8・10といった明るさのバリエーションがあります。
ここでは代表的なナイトスカイ、スターダスト、アンバー、ビーチ、シャドウ、ムーンライトの特徴を解説します。
ナイトスカイ (Night Sky)

ナイトスカイは澄み渡る夜空を思わせるチャコールグレージュです。
深みのあるグレー~ベージュ系の色味で、暗めのトーンでも透明感をしっかり表現できます。
赤みやオレンジみを抑えたいときに有効で、既染部のムラを自然に補正しながら均一で落ち着いた仕上がりになるのが特徴です。
トーンダウン(髪を暗くする)目的でも重たく沈まず、光に当たると柔らかな透け感が現れるため、「透明感のある暗髪」を演出したいときに活躍します。
レベル4~10まで揃っており、白髪が気になり始めた世代の方にも使いやすいカラーです。
スターダスト (Stardust)

スターダストは星空のきらめきを宿したようなシルバーグレーです。
青みがかったアッシュグレーで、髪に上品なくすみ感とツヤを与えてくれます。
ブリーチ毛のトナーとして使うと、黄ばみを抑えた透明感の高いシルバーアッシュに仕上がり、まるで地毛が外国人風の淡いグレイッシュカラーになります。
赤みの強い髪をソフトな寒色に近づけたい場合や、ハイライト部分にくすみをプラスしてコントラストを和らげたい場合にも最適です。
スターダスト単品ではクールな印象ですが、他の色とミックスしてニュアンスを加えることで可愛らしさも演出可能な万能カラーです。
アンバー (Amber)

アンバーは琥珀のような温かみのあるブラウンで、モーヴブラウン(紫がかったブラウン)に分類されます。
一見ナチュラルな茶色ですが、ほんのりピンクやパープルのニュアンスが含まれており、髪色を柔らかく上品に見せてくれます。
イルミナカラーの中でもツヤ感が際立つ色で、染め上がりの艶やかさは全ラインナップ中トップクラスです。
色素量が他の色より多めに設計されているため発色が深く、白髪が20%程度混ざった髪ならアンバー単品でも自然に白髪をぼかすことができます。
肌の色を選ばず似合いやすい万能カラーで、暖色系に挑戦したいけど派手すぎるのは苦手というお客様にもおすすめです。
ビーチ (Beach)

ビーチは砂浜のきらめきを表現したサンドベージュです。
赤みをしっかり抑えつつも、緑や青に寄り過ぎない絶妙なバランスのベージュカラーとなっています。
日本人の髪に残りがちなオレンジ系の色素をやわらかく打ち消し、ミルクティーのような柔らかいベージュに仕上がるのが魅力です。
単品使いでもクリアで美しい発色になるため王道のくすみベージュとして人気が高く、初心者でも扱いやすいカラーです。
ブリーチなしの髪でも8~10レベル程度の明るさがあればビーチ特有の透明感が表現でき、明るい髪に使えばよりグレージュ寄りのクールな質感も楽しめます。
シャドウ (Shadow)

シャドウはイルミナカラー独自の青ベースのダークブラウンで、白髪対応専用のカラーとして登場しました。
イルミナカラーならではの透明感を保ちながら、白髪や明るい毛束に深みを与えて馴染ませるための色味です。
単品で使用するというよりは、他のイルミナカラーに一定割合ミックスして使うのが一般的で、「既存色+シャドウ20~30%」の配合で、通常のファッションカラーでは難しい明るめの白髪染めを実現できます。
シャドウを混ぜることで色に厚みが加わり、白髪もしっかりカバーされますが、不思議と重たく沈んだ印象にはならず柔らかな質感をキープできるのが利点です。
大人世代のお客様への提案や、色持ちを良くしたい時のトーンダウン剤としても重宝します。
ムーンライト (Moonlight)

ムーンライトは柔らかな月明かりのようなシアーシルバーで、8レベル前後のクールグレージュトーンです。
ナチュラルな銀灰色系カラーで、強すぎない絶妙なくすみ感が特徴です。
透明感と落ち着きを両立したカラーリングが可能で、上品で大人っぽい印象に仕上がります。
単体で使えば肌なじみの良いソフトな印象になりますが、より青みを出したい場合はオーシャン(アクアブルー系)を足したり、さらに柔らかくしたい場合はヌードやクリアを混ぜたりと調整がしやすいカラーです。
ブリーチせず暗めの髪にムーンライトを乗せるとほんのり透けるグレージュになり、明るいベースに使えばよりシルバーベージュ寄りの発色になります。
派手すぎない寒色系カラーとしてサロンでも人気があり、特に赤みや黄みを抑えた上品なくすみヘアを求めるお客様に喜ばれる色です。
白髪や黒髪への染まり方・発色の特徴

イルミナカラーはファッションカラーに分類されますが、白髪の染まり方は通常の白髪染めとは異なります。
白髪が少ない場合、イルミナカラーでも自然にぼかすことが可能です。
アンバーやシャドウを活用すると、20%程度の白髪をナチュラルにカバーできます。 仕上がりは光を含んだ柔らかい発色で、白髪に対する抵抗感を軽減できます。
白髪が多い場合、イルミナカラー単体ではカバーしきれないこともありますが、シャドウをミックスすると明るい白髪染めにも対応できます。
白髪ぼかしのハイライトと組み合わせると、よりナチュラルな仕上がりになります。
黒髪への発色は、6%や9%の酸化剤を使って明るくしながら色を入れます。
リフト力はブリーチほど強くなく、仕上がりは自然なブラウン~ダークトーンです。
カラー選定のポイント
お客様の希望や髪の状態をカウンセリングし、カラーチャートを活用しながら選定します。
黒髪には明るめのカラーを、明るい髪にはワントーン暗めを選ぶと調整しやすいです。
肌のトーンに合わせたカラー提案も重要です。
黄み肌にはサファリやアンバー、色白にはオーシャンやスターダストが好相性です。
髪のダメージが気になる方には、トリートメントメニューやホームケアのアドバイスも行いましょう。
施術時のテクニック

ムラなくたっぷり塗布し、均一な発色を実現することがポイントです。
ブロッキングを細かく取り、根元から毛先まで均等に塗布します。
放置時間は20〜30分が目安で、髪質や薬剤濃度に応じて調整しましょう。
ダメージを抑えるため、毛先には3%の酸化剤を使い、負担を軽減します。
施術後は弱酸性シャンプーやトリートメントでアルカリを除去し、キューティクルを整えます。
サロンワークでの活用方法
単色でも美しいですが、複数の色味を組み合わせることで幅広い表現が可能です。
ブロッサム×アンバーで落ち着いたピンクベージュに、 オーシャン×ヌードで透明感のあるグレージュに仕上がります。
秋冬には、ナイトスカイやフォレストに少量のアンバーを加えるのがおすすめです。
イルミナカラーの調合を工夫し、お客様に最適な仕上がりを提案しましょう。