ソフタッチは、長年にわたり多くの美容師に支持されてきたプロ専用カラー剤です。
カラーチャートの理解は、提案の幅を広げるための重要な鍵となります。
本記事ではソフタッチの特徴から、色展開、人気カラー、提案方法に至るまで、網羅的にご紹介します。
ソフタッチヘアカラーとは何か

ソフタッチヘアカラーは、プロ専用メーカーウエラが提供する美容室向けのヘアカラー剤です。
特徴は低アルカリ処方による髪と頭皮への優しさで、アルカリ量を最小限に抑えることでカラー施術時のダメージを大幅に軽減しています。
同時に浸透力を高めたベストバランス処方により、髪の内部までムラなく染料を行き渡らせて色ブレを防ぎ、安定した発色と色持ちを実現します。
その結果、カラー後の髪はツヤと手触りが向上し、なめらかな仕上がりになります。
低ダメージでありながら発色の安定したソフタッチは、髪が傷みやすいお客様や繰り返しカラーをする方に特に適したファッションカラー剤です。
ソフタッチの歴史
発売から20年以上経つロングセラーですが、現在でも多くの美容師に支持されています。
もともとは新生部(根元の伸びた黒髪)には同社のコレストンなど通常のアルカリカラーを使い、既染部(毛先の既に染まった部分)をソフタッチで染め直す使い分けが一般的でした。
実際、ソフタッチは当初毛先の補修カラーや白髪染めとして定番的に使用されており、低アルカリ&染料濃度控えめな処方がダメージ毛でも安心して使えると評価されてきました。
最近ではブリーチ後のハイトーンカラーに欠かせないアイテムとも言われ、外国人風の透明感あるカラーを表現するためにソフタッチが再注目されています。
最新のカラーチャート(色展開)

ソフタッチヘアカラーは全53色という豊富な色展開が用意されています。
ナチュラルな地毛風カラーから個性的な寒色・暖色まで幅広くカバーしており、サロンワークで使いやすい構成になっています。
以下に、ソフタッチの主要な色相カテゴリーとその特徴をまとめます。
系統 | 色味(カラー記号) | 特徴・用途 |
---|---|---|
ナチュラル系 | 00 ナチュラル、07 ブラウン など | 地毛に近い自然なブラウン。白髪のカバーや他の色味のベースとしても使用 |
寒色系 | 11 コバルトアッシュ、8 パール、88 ブルーシルバー、6 ブルーバイオレット、71 パールブラウン など | 赤みを抑えたクールな色調。アッシュ系・グレージュ系の透明感カラーに最適 |
暖色系 | 44 レッドカッパー、45 レッドマホガニー、68 ピンクパール など | 血色感や華やかさを与える暖かな色調。ツヤが映え、女性らしい柔らかさを表現 |
ハイトーン対応 | ライトナー、クリア | ライトナーは混ぜると約1トーン明るくできる補助剤。クリアは無色で、色味を薄め透明感をさらに高める用途 |
上記のように、ソフタッチではナチュラル(00)やブラウン(7)といった基本色から、パール(8)・アッシュ(11)・ブルーシルバー(88)などの寒色系、レッドカッパー(44)・レッドマホガニー(45)・ピンクパール(68)といった暖色系まで多彩なカラーを網羅しています。
ライトナーは既存の色に混ぜて明度を約1レベル上げることができ、ハイトーンが求められる時に便利です。
クリア剤は色味を加えずツヤ出しや濃度調整に使え、カラーを薄めてより透明感のある仕上がりにしたい場合に重宝します。
人気のあるカラーと美容師視点のおすすめ
ソフタッチの中でも特に美容師から支持されているのは、トレンドの透明感カラーを演出しやすい寒色系と柔らかなニュアンスのブラウン系です。
染料が濃く入りすぎない処方のため、グレージュやベージュなど淡い発色のカラーが表現しやすく、お客様に提案しやすいと好評です。
実際「ソフタッチなら外国人風の薄い透明感のある色が可能」との声もあり、ブリーチオンカラーで透け感を出したいときに選ばれることが増えています。
- アッシュ・パール系 – 青み系のアッシュ(11 コバルトアッシュ等)や紫がかったパール(8 パール等)は、赤みを消した柔らかい仕上がりになります。
透明感が高く若い世代に人気で、ブリーチ毛の上に乗せてグレージュやラベンダーアッシュ系に仕上げる提案が定番です。 - ピンク・ヴァイオレット系 – 68 ピンクパールや6 ブルーバイオレットなど、ピンクやパープルのニュアンスカラーも支持されています。
肌なじみが良いピンクブラウン系は日本人の肌色を明るく見せやすく、柔らかな印象になるためお客様にも受け入れられやすい色です。モーブ系のくすみピンクは特に女性からの人気があります。 - ブラウン系 – ソフタッチのブラウン(7 ブラウン)やパールブラウン(71)といったナチュラル系カラーは、幅広い層に提案しやすい万能色です。
単品で自然な仕上がりになるのはもちろん、他の色味に混ぜて彩度を抑えたい時にも使いやすく、白髪が少しある方にはナチュラル系でぼかしつつオシャレ染め風に仕上げることも可能です。 - レッド・オレンジ系 – 44 レッドカッパーや45 レッドマホガニーといった暖色系も根強い人気があります。
特に秋冬シーズンには深みのあるレッドブラウン系として提案しやすく、ツヤ感と華やかさを両立できる色味です。ビビッドになり過ぎない上品な赤味なので大人世代にもマッチします。
このように、ソフタッチならではのくすみを帯びない柔らかな発色を活かして、トレンドカラーから定番色まで幅広く提案できます。
特にアッシュ系・ベージュ系のグレージュカラーや淡いピンクブラウンは、「透明感があっておしゃれ」と若年層に人気です。
一方で派手すぎないブラウン系や穏やかな赤味は、オフィス勤務の方や大人のお客様にも受け入れやすく、美容師としても提案の幅が広がります。
カラーの選び方・似合う色の提案方法

ソフタッチの豊富な色展開からお客様にベストなカラーを選ぶために、いくつかのポイントを考慮します。
お客様の髪質・髪色のベースを把握
まず、お客様の髪質・髪色のベースを把握しましょう。
明るさ(トーン)やダメージレベルによって発色の仕方が変わるため、例えば暗髪から大きく明るくする場合は事前にブリーチが必要か、またはライトナーで1トーン上げるだけで足りるかを判断します。
ソフタッチ自体は低アルカリで髪を大きく明るくする力は強くないため、元の明るさを活かした色選びが基本です。
肌の色味(パーソナルカラー)を参考にする
次に、お客様の肌の色味(パーソナルカラー)も参考にします。
一般的に肌がイエローベースの方にはオレンジやブラウンなど暖色系が良く似合い、ブルーベースの方にはアッシュやピンクパープルなど寒色系がマッチしやすいです。
例えば、肌に黄みがあるお客様にはピンクブラウン系を提案すると顔色が明るく見えますし、青み寄りの肌色の方には赤みを抑えたアッシュ系やパール系を勧めると透明感が際立ちます。
「自分に似合う色がわからない」というお客様には、肌のトーンや瞳の色からパーソナルカラー診断の話題を出しつつ、「〇〇系の色味ならお肌が綺麗に見えますよ」と具体的に提案すると親切です。
季節感を意識する
季節感もカラー提案の重要なヒントになります。
季節ごとのファッションや雰囲気に合わせ、ヘアカラーに季節らしさを取り入れると提案の説得力が増します。
- 春 – 柔らかなパステル調やピンクブラウン系カラーがおすすめです。
冬の暗髪から一転、ほんのり桜色やミルキーなベージュを入れると春らしい軽やかさが演出できます。 - 夏 – 透明感のある涼しげなアッシュ系が人気です。
赤みを抑えたアクアアッシュやラベンダーアッシュなど、ソフタッチの寒色系カラーで軽やかかつクールな印象に仕上げると喜ばれます。 - 秋 – 深みと温かみのあるカラーが映える季節です。
レッドマホガニーやチョコレートブラウンなど落ち着いた秋色ブラウンに、ピンクパールを少し混ぜて華やかさを添えるのも良いでしょう。
夏に明るくした髪を少しトーンダウンしつつツヤを与える提案です。 - 冬 – 澄んだ空気感に合うクールな色味やコントラストのはっきりしたカラーがおすすめです。
ブルーシルバー系で透明感を極めたカラーや、あえての深いバイオレットアッシュ、ソフトブラック系などで凛とした冬の装いを演出します。
「なりたいイメージ」と「許容範囲」を引き出す
最後に、お客様とのカウンセリングで大切なのは「なりたいイメージ」と「許容範囲」を引き出すことです。
ソフタッチは発色がマイルドなので奇抜になりすぎる心配は少ないですが、逆に言えばビビッドなカラー表現には不向きです。
お客様の希望が「思い切り明るく」や「原色に近い発色」である場合はソフタッチ以外のラインやブリーチ回数も検討します。
一方で「派手すぎず透明感が欲しい」「ツヤ重視で上品にしたい」といったニーズにはソフタッチがマッチします。
例えば…「あまり明るすぎないけど透明感のあるカラーにしたい」というお客様には、ソフタッチのパールブラウン系はいかがでしょうか。
「お肌になじむ柔らかなアッシュブラウンですし、ソフタッチならダメージも少なくツヤもしっかり出ますよ。」といった具合に、メリットを伝えつつ具体的な色を提案すると安心感につながります。
このように、お客様のイメージと似合う色味をすり合わせながらソフタッチのカラーチャートから最適な一色を選び出しましょう。
ソフタッチカラーの使用感・仕上がりの特徴

実際にソフタッチを使用する際の塗布感や仕上がりについて、プロ目線で押さえておきたいポイントを解説します。
薬剤の質感
まず、薬剤はクリーミーで伸びが良く塗布しやすい質感です。
「低アルカリで薬剤がやわらかく塗りやすい」との声もあり、毛先までスムーズにコーミングできるため初心者でも扱いやすいでしょう。
混合比は1剤:2剤(オキシ)=1:2が基本で、通常のカラー剤よりも2剤を多く混ぜる設計です。
そのため染料濃度が薄まり、髪内部で必要以上に濃く発色しません。
このおかげで「ブリーチ毛に通常のカラーを乗せると色が濃く入りすぎるが、ソフタッチなら失敗が少ない」と言われており、狙った色味のコントロールがしやすいメリットがあります。
発色
発色に関しては、低アルカリでありながらもしっかり髪の内部まで染料が浸透するためムラなく染まります。
色の入り方は穏やかで柔らかく、たとえば濃厚な暗髪よりも淡く透明感のある色味を得意とします。
その一方で白髪への染着もきちんとあり、実際に「ソフタッチを白髪染め用途で使っている」という美容師もいます。
真っ黒に染め上げるような高い覆い率は持ちませんが、明るめの白髪ぼかしやファッションとグレイの両立には便利です。
色持ち
色持ちについても、髪への定着が安定しているため良好です。
染めた直後の色味が過剰に抜けることなく、緩やかにフェードしていきます。
もちろんハイトーンの淡いカラーはシャンプーを重ねるごとに徐々に薄まりますが、その過程も比較的きれいで黄ばみにくい傾向です。
長くカラーの美しさを維持するには、カラーシャンプーの活用やホームケアのアドバイスも併せて行うと良いでしょう。
仕上がりの質感
仕上がりの質感は、ソフタッチ最大の長所とも言えます。
先述の通り配合されたトリートメント成分(ウエラ独自のX-メンブラン技術)がカラーリング中に髪を保護し、タンパク質や水分を補給してくれます。
その結果、カラー後の髪はパサつきが抑えられ、ツヤのあるなめらかな手触りになります。
実際に使用した美容師からも「ダメージ感が少なく、仕上がりの質感が良い」と高く評価されています。
ブリーチを併用したハイトーンカラーではどうしても髪のごわつきが問題になりますが、ソフタッチでオンカラーすることで指通りの良さを保ちながら色味をプラスできる点は大きな魅力です。
まとめ

以上のように、ソフタッチヘアカラーは美容師にとって頼もしいカラー剤です。
お客様の髪をいたわりつつ、トレンドの色味から定番カラーまで自在に表現できるため、サロンワークで重宝すること間違いありません。
低ダメージ・高品質な仕上がりを両立できるソフタッチのカラーチャートを味方につけて、ぜひワンランク上のカラー提案に役立ててみてください。