イゴラ ロイヤル ピクサムFとG:シリーズ概要と色味の違い

イゴラ ロイヤル ピクサムF(以下ピクサムF)とピクサムGは、シュワルツコフのプロ向けヘアカラーシリーズであり、それぞれファッションカラー(おしゃれ染め)とグレイカラー(白髪染め)に特化したラインです。

特徴を解説します。

イゴラ ロイヤル ピクサムFの特徴

出典:FIVE WEB STORE

ピクサムFはブリーチ毛や明るめの髪にも対応し、透明感のある鮮やかな色味を表現できるのが特徴です。

日本人特有の髪の赤みを抑える処方(隠しラベンダー処方)により、持って生まれたかのような柔らかな発色とツヤを実現します。
コンディションの悪い髪でもムラなく発色し、ファイバープレックス技術によるダメージ軽減でカラー後の質感も良好です。

イゴラ ロイヤル ピクサムGの特徴

出典:FIVE WEB STORE

ピクサムGは大人の白髪をしっかりカバーしつつ、従来の白髪染めにありがちな重さやくすみを感じさせない仕上がりが魅力です。
こちらもファイバープレックス由来の高いダメージケア効果を持ち、さらにアミノセラミドキャリア技術で染料とケア成分を髪内部に運びます。

白髪もしっかり染め上げながら、根元から毛先まで均一で潤いのある色ツヤと弾むような柔らかさを与えてくれるのが特長です。
色味の傾向として、ピクサムFは寒色系から高彩度のトレンドカラーまで幅広く、特に赤みを抑えたクリアな発色や高明度の外国人風カラーが得意です。

つまり、ピクサムFはデザインカラー向き、ピクサムGは白髪をカバーしつつ若々しい色味を表現するのに適したシリーズと言えます。

ピクサム-Fチャートの特徴と美容師が活用する際のポイント

出典:FIVE WEB STORE

ピクサムFのカラーチャートには約70以上ものシェードがラインナップされており、レベル(明度)も2~14レベル程度まで幅広くカバーしています。
各色はアルファベット+数字で表記され、アルファベットが色相(色味グループ)を、数字が明度レベルを示します(数字が大きいほど明るい色)。

ピクサムFでは7つ程度の色相グループが設定され、いずれもベースにベージュニュアンスを含む設計で自然な発色になるよう工夫されています。
特にベージュ系シェードには前述の隠しラベンダーが配合されており、日本人の硬く見えやすいオレンジ・赤みをやわらげ透明感を演出します。
以下に主なトーン記号と特徴的な色味傾向、活用例を整理します。

A(アッシュ) – 青ベースの寒色系。オレンジみを抑える定番トーンです。
例)A-12(レベル12のアッシュ)なら、明るいブリーチベースに透明感のあるクールブロンドを表現できます。
M(マット) – 緑ベースの寒色系。赤みをしっかり消すオリーブ系トーンです。
例)M-8(レベル8のマット)なら、8トーン程度の明るさの髪に残る赤みを打ち消し、柔らかいオリーブブラウンに仕上がります。
Be(ベージュ) – ベージュベースのニュートラル系。隠しラベンダーの効果で自然なツヤ感と柔らかな仕上がりになります。
例)Be-8(レベル8のベージュ)は、赤みを抑えたナチュラルなライトブラウンで白髪混じりの髪でも柔らかな印象に。
G(ゴールド) – 黄ベースの暖色系。ツヤと暖かみを与えるトーンです。
例)G-12(レベル12のゴールド)は、高明度の髪に上品なシャンパンゴールドの輝きをプラスします。
O(オレンジ) – 橙ベースの鮮やかな暖色系。
ピンク味を含んだコーラルオレンジ寄りの発色になります。
例)O-8(レベル8のオレンジ)は、明るめの髪にビビッドなオレンジ色を単品で入れることも、他の色味と混ぜて暖色ニュアンスを足すことも可能です。
R(レッド) – 赤ベースの高彩度カラー。深みのある鮮烈な赤色です。
例)R-6(レベル6のレッド)は、中明度の髪に単品でもしっかり発色し、深みのあるレッドブラウンとして大人っぽい印象に仕上げられます。
V(バイオレット) – 紫ベースの寒色〜中間色系。
青み寄りのパープルで、黄みを抑えつつ柔らかな艶感を与えます。
例)V-10(レベル10のバイオレット)は、ハイトーンの黄ばみを飛ばしつつほんのりラベンダーがかったベージュブロンドを作れます。

このようにピクサムFチャートでは色番号だけでおおよその色味傾向が把握できます。
美容師が活用するポイントとして、ベースの明るさと残留色素に合わせて適切なトーン記号を選ぶことが挙げられます。

例えば、赤みが強く残っている髪にはマットやアッシュ系を、逆に黄ばみが気になるハイトーン毛にはバイオレット系を選ぶことで、狙い通りの仕上がりに近づけることができます。
また、ピクサムFにはクリア(無色)も用意されており(例:Clear-14)、これを混ぜることで色味を薄めたり明度をさらに上げたりする調整も可能です。

ファイバープレックス配合のピクサムFはブリーチオンカラー(ブリーチ後の髪に乗せるカラー)としても使いやすく、ダメージを抑えながら高彩度の色表現ができるため、トレンドのデザインカラーに積極的に活用できるでしょう。

「F-PYR」やオレンジ系カラーの色味傾向と活用例

出典:D-ONLINE

ピクサムFの中でも近年注目されているキーワードがF-PYR(エフピーワイアール)です。
これはピクサムFに採用されているピラゾール染料(PYR)を示しており、特に暖色系の鮮やかな発色と色持ちに優れた革新的染料です。

従来はブリーチ毛に鮮やかなピンクやオレンジを表現する際、ヘアマニキュアなど直接染料に頼ることが多かったですが、PYR染料のおかげでアルカリカラーであるピクサムFでも高彩度の暖色を実現できるようになりました。

美容師にとっては、ブリーチベースにそのまま塗布しても発色が良く、しかも退色過程も美しい暖色カラーを提供できる点で大きなメリットです。
実際、都内有名サロンのSHIMAと共同開発した「ピラミンゴ」シリーズでは、このPYR染料を活かした6色のアイコニックなカラーが展開されています。
以下がその代表的なカラーと色味傾向です。

ローズ – 青みのバランスが絶妙なピンク。数回のシャンプー後もシルバーピンクが残るよう設計されており、ブリーチ毛に柔らかなローズピンクを長持ちさせたい時に適しています。
コーラル – ピンク味をしっかり含んだコーラルオレンジ。鮮やかさの中にも上品さがあり、高明度の髪に単色で入れても透明感のあるオレンジ系に発色します。
ハニーシルバー – ゴールドのくすみを帯びたシルバー。オレンジ味のあるベースをコントロールしつつ、柔らかい銀髪のようなニュアンスを与えるカラーで、既存の黄色味を抑えたい時に有効です。
バイオレットピンク – 青味が強めのビビッドピンク。ローズと組み合わせて中明度〜低明度で使ったり、彩度調整のミックスにも適しています。単品ではしっかりとした濃いめのピンクパープルを表現します。
オレンジ – ピンクのニュアンスを併せ持つ鮮烈なオレンジ。ブリーチベースの高明度〜中明度に単品で使えばフレッシュなフラミンゴオレンジに、また他の色と混ぜてコーラル系のニュアンスを加えることもできます。
レッド – 深みのある鮮やかな赤。中明度以上のベースに乗せればクリアなレッドに発色し、ローライト的に低明度部分に使っても暗さの中に赤い輝きを潜ませることができます。

このようなPYR配合のピクサムFカラーを活用することで、近年人気のピンクやオレンジなど暖色系トレンドカラーを思いのままに表現できます。
特にオレンジ系は一歩間違うとくすみやすい色味ですが、ピクサムFのオレンジはピンクを忍ばせた設計により発色が濁りにくく、単色でも洗練された印象に仕上がります。

カラー対応例

出典:楽天

美容師にとっては、例えば「ブリーチ後の髪にペールオレンジを入れて柔らかなコーラルベージュにしたい」といった要望にも、ピクサムFのオレンジやコーラルを用いることで対応しやすくなります。

なお、ピクサムGにもG-O(オレンジ系)のシェードが存在し、白髪染めラインでも暖色系の表現が可能です。
ただし白髪の割合が多い場合、オレンジ系単品だと明るく発色しすぎることがあるため、G-B(ベースのブラウン)とのミックスで彩度とカバー力のバランスを取るのがポイントです。

ピクサムGのオレンジ系を適度に使うことで、白髪交じりの髪にも柔らかな銅色や暖かみのあるベージュブラウンを演出でき、顔色を明るく見せる効果も期待できます。
以上のように、イゴラ ロイヤル ピクサムFとGシリーズは、それぞれの特性を理解して使い分けることで、幅広い世代・ニーズのカラー施術に対応できます。

まとめ

ピクサムFはトレンドを押さえた高彩度カラーや透明感カラーでクリエイティブの幅を広げ、ピクサムGは白髪をカバーしつつ若々しく美しい色味を提供します。
どちらもダメージケア効果を備えているため、髪の負担を抑えながら理想の色を追求できるのも嬉しいポイントです。

美容師としては、それぞれのチャートを上手に読み解き、適切に組み合わせて使うことで、お客様一人ひとりに合った「なりたい髪色」を叶えることができるでしょう。

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